サウンドハウス

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ギター、エフェクター製作、オーディオなど、大好きな音楽の話をしていきます。

超初心者向け徹底解説 〜【電子回路編(1/4)】distortion+の回路図解説「①入力部」〜

(2022/9/4追記)

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丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。

これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編)
~電子回路の解説~

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編)
~配線レイアウトの解説~


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どうも、lenheyvanです。

これまで、抵抗・コンデンサ、フィルター回路、オペアンプの解説をしてきました。
lenheyvan.hateblo.jp
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一応これでdistortion+のような、原始的な回路図は読める準備ができました。

さあ、いってみましょう。

まず、全体の回路図はこのようになっています。
これを別タブで開いてください。この図を見ながら読んでもらえると理解しやすいと思います。


おおまかには、赤枠の各パートに分かれていて、最終的に信号を増幅&クリッピングすることでディストーションをかけています。

今回から何回かに分けて、各パートを解説していきますね。

「①入力部」の解説

超高音域をカット(C1)

一番最初に小容量のコンデンサC1がGNDに繋がっていて、ローパスフィルターになっています。
ここで超高音域をGNDに落として捨てることで、ノイズを軽減してします。

※ノイズを軽減する代わりに、煌びやかさは失うわけで、そこはトレードオフになります。



でも、「あれ?おかしい」と思いませんでしたか?


そうなんです。フィルター回路ぽいけど抵抗が無いんです。実はこうなっている回路はよくあります。

カットオフ周波数はちゃんと計算できますが、インピーダンスという初心者にはちょっと取っ付きにくい話が出てきます。
私の記事は素人の方がディストーションを自作できることを目標にしているので、ここでは話しません。
(というか、私自身もプロの方に最近教えて頂いたくらいなので、適切に解説できるか自信が無いです。。)



【興味が無い方は読み飛ばしてください】
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少しだけ説明すると、一言で言うと、直流回路における抵抗が「抵抗」、交流回路における抵抗が「インピーダンス」です。


抵抗はRで表現し、V=IRと説明しましたが、
インピーダンスはZで表現し、V=IZです。


コンデンサの説明の時に交流を通し直流を通さないとお話ししましたよね。
これを言い換えると、高周波(より交流に近い)はインピーダンスが低く、低周波(より直流に近い)はインピーダンスが高い、ということになります。


まあ、この辺の小難しい話は知らなくてもディストーションは作れますので、気にしなくて大丈夫です。

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低音域をカット(C2)

次にC2が、中音域~高音域だけ通すハイパスフィルターになっています。
これも先程と同じく、抵抗の無いハイパスフィルターです。

ここまでで、超高域と低音域をカットして、オペアンプに入る前段でサウンドを整えてます。

オペアンプ保護(R1)

10kの抵抗になってますが、これはオペアンプ保護用です。
大きな電流がオペアンプに入力されるとオペアンプが壊れるので、通常1~10k程度の抵抗をここに入れます。

※R1からオペアンプへ入力する途中、R6から線が繋がっていますが、これは「③電源部」で説明します。

モディファイのネタ帳

歪ませる帯域調整-高音域(C1)

容量でカットする周波数を変えることができます。
小さくすると煌びやかだけどノイジー(煌びやかさMAXにしたいなら外してください)、
大きくするとノイズをより抑えられるけど煌びやかさが失われていきます。


歪ませる帯域調整-低音域、コンプレッションの調整(C2)

容量を小さくするとキレがよくなるけど薄くなる、
大きくすると太くなるけど低音域がモタつきます。

また、良くも悪くも、低音域が多めだとコンプレッション感も上がります。

歪みの質感の調整(R1)

ここはサウンドへの影響はあまり大きくないです。
抵抗が大きい方が若干Dirty(良い意味で泥臭い)、小さい方がClear(スッキリ)かなという印象です。

Keeleyモディファイではここの抵抗や、R8を4.7kにしていたはずです。

最後に

私はそれぞれのパーツの役割を耳でも確認したかったので、ボロボロのdistortion+を中古で入手し全パーツを外してソケットをつけました

出展:Garrettaudio

↑これを各パーツの足の部分に半田付けして、抵抗やコンデンサを差し替えるだけでサウンドチェックできるようにしたのです。

こんな感じです。

ソケットつけるのは中々大変ですが、一回やってしまえば後はめちゃくちゃ楽ですよ。

やっぱり理屈より最後は自分の耳ですからね。


ここで作業について、ひとつアドバイス

モノによりますが、市販品の半田はガンガン温めても、半田吸い取り線が吸ってくれない場合があります。
(特にオペアンプは難儀します。。)

そういうときは、取り外したい足の半田に上からさらに半田を盛ってから、吸い取ってみてください。

そうすると、自分がつけた半田を吸い取るときに元々の半田も一緒に吸ってくれるのでキレイに取れます

オペアンプダイオードのような熱に弱い部品は熱を与えすぎると壊れてしまうので、かなり有効な手段です。

このやり方を知らずに、何台の基板を壊したことか。。



では、今回はここまでです。

次回はこのエフェクターの心臓部である、「②増幅部」にいきたいと思います。