どうも、lenheyvanです。
今回はギターのボリュームポットの話をしたいと思います。
ボリュームポットを選ぶ際にはメーカー(CTSが有名)、抵抗値(250k/500k/1M等)、カーブ(A/B/C)がありますが、抵抗値についてのお話です。
はじめに
よく、ストラトは250kΩ、レスポールは500kΩ、テレキャスは1MΩとか言われますが、何故でしょうか?(ビンテージのレスポールなんかでは300kΩが使われたりします)
結論から言うと、これは程よくハイ落ちさせることで、耳に痛い金属的な響きを除去してサウンドに柔らかさをもたらしたり、ギターサウンドの美味しいミドル帯域を強調したりしています。
何が良いサウンドかは百人十色なので、ハイ落ちを全くさせない音が好きという方もいると思うので、ハイ落ちさせるのが正解という意味ではないです。
この辺はギター自体やピックアップの特性を踏まえて、選択するのが良いと思います。
また、ボリュームポットを積極的に音作りに利用するという手もあります。
例えば、レスポール+ハムバッカー、ボリュームポットは500kΩの組み合わせなんかは定番だと思いますが、もっと高音域を抑えて、ぶっとい音にしたいとう場合があるとします。
その場合は抵抗値を下げて、250kΩや300kΩにするという選択肢が生まれます。
抵抗値を下げる分、ハイが落ちて少しモコモコするのでザクザクした歪みサウンドは出しにくくなります。
私の感覚からするとリズムギターというよりリードギターですね。
HR/HM向きではなくて、Jazzやフュージョン、もしくは70年台のオールドRock向きな気がします。
では、何故ハイ落ちするかのメカニズムについて解説していきます。
何故ハイ落ちするのか!?
以下の絵を見てください。
こんな信号の流れになっています。
ピックアップから出力された信号は、ボリュームポットを通って、OUTPUTジャックから外に出ていきます。
ボリュームポットを小さくしていくと(反時計回り)、こんな信号の流れになります。
回していくとグラウンドへ捨てられる信号が多くなっていき、ボリュームが小さくなっていきます。
最後はグラウンド(一番下の部分)に接地することで、ボリュームが全部捨てられて音が出なくなります。これがボリュームゼロの状態です。
逆にボリュームポットを大きくしていくと(時計回り)、こんな信号の流れになります。
回していくとグラウンドへ捨てられる信号が少なくなっていき、ボリュームが大きくなっていきます。(正確に言うと「信号が捨てられなくなる」=ボリュームが大きくなる)
そして、ボリュームをMAXにしたときはこうなっています。
ピックアップからOUTPUTジャックへ一直線に信号が流れています。
ただ、よく見てください、グラウンドに向かって微量の信号が流れています。
これがハイ落ちの原因です。
ギター信号とグラウンドの間に500kΩの抵抗が入っていても、「抵抗-グラウンド」の部分が接続されている限り、捨てられる信号はゼロにはならないです。
ただ、ピックアップからの信号ってそのままOUTPUTするとキンキンしがちなので、敢えてハイ落ちさせて、それを音作りに使っているということです。
上の絵ではボリュームポットの抵抗値が500kΩになってますが、これを下げるとハイ落ちの度合いが大きくなります。上げると逆にハイ落ちがしづらくなります。
シングルピックアップの場合は高音域が強い特性がありますよね。
だから250kΩを採用することによって、多めにハイを落とすことでサウンドのバランスを取ってます。
ハムバッカーはその逆の特性があるので、ハイはそこまで落とさないように500kΩがよく使われます。
テレキャスはジャキジャキしたキレを重視したギターなので、1MΩにすることでハイ落ちを微量にしています。
ここは、ギター自体の特性も合わせて選択すると良いと思います。
例えばメイプル材は高音がよく出ますし、逆にマホガニー材やコリアン材なんかは中低音が強めですよね。
今の自分のギターサウンドの高音域が強い/弱いを基準に調整してみると良いと思います。
ハイ落ちさせないという選択
高音がめちゃめちゃ強いサウンドが好きだ、という人にはハイ落ちさせないという選択肢もあります。
でも先程お話ししたように、
「抵抗-グラウンド」の部分が接続されている限り、捨てられる信号はゼロにはならない
です。
ではどうするかと言うと、方法は2つあります。
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①ボリュームMAXで「抵抗-グラウンドの部分が接続されない」ボリュームポットを使用する
②スイッチを増設して、スイッチONでボリュームポットを通さないようにする
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①はこんな製品があります。
SONICのフルアップボリュームというものです。
ボリューム下げたときは通常のボリュームポットと同じように使えるので、「ボリュームMAX時にハイ落ちさせたくない」という人にはピッタリです。
気に入らなかったら、元のボリュームポットに戻せばいいだけ、というのも利点ですよね。
トーン回路があるギターを使っている人は、トーンもセットで交換してください。そういうギターの場合、ボリュームだけ変えても効果が薄くなります。(と言うかあまり意味がありません・・・)
②は「ハイが強調されたサウンドと、通常のサウンドを切り替えながら使いたい」という人にピッタリです。
スイッチを1つ増設して、OFF時は通常とおりボリュームポットを通すようにして、ON時はボリュームポットを通過させずに、ピックアップからの信号を直接OUTPUTジャックに接続されるようにします。
使ってないトーンポットがあれば、その部分をスイッチ化するのもありますですし、そういうのが無ければ小さな穴あけ加工して、取り付けることになります。
手間はかかりますが、自分のオリジナリティ溢れるギターにしたい人には楽しい作業と思います。
私はレスポールだけ、SONICのFV-22を使っています。
以前はハイがガッツリ出るサウンドにすることで歪み方が派手になるのが気に入って、全ギターに採用していましたが、やっぱりちょっと音が固いな(細いな)と思うようになり、最終的にレスポールだけに絞りました。
500kΩだとちょっと私には柔らかすぎたので、F-22を使うことでちょうど良いバランスになりました。(歪ませたときの倍音感、歪みの深みが好きです)
以前紹介したWolfetoneのピックアップは高音が強く過ぎて手放してしまいましたが、今にして思えば、当時、SONICのFV-22を採用していたので、通常の500kΩポットだったら、もしかしたら好みのサウンドだったかも。
うーん、時すでに遅し・・・
終わりに
ボリュームポットって地味ですが、サウンド影響はかなり大きいです。
試しに、自分のボリュームポットを250kΩ⇔500kΩを交換してみてください。
かなり高音域の感じ方が変わります。
私も実際、ハムバッカーに250kΩに交換してみたことがありますが、ぶっとくモコモコしたサウンドに変わりました。
私のやりたい音楽だともっとザクっとした歪みが欲しかったので元に戻しましたが、好きな人は好きなサウンドだと思います。
今の自分のギターサウンドに満足できてない人は是非試してみてください。
ではまた!