どうも、lenheyvanです。
先日、Marshall Haze15のモディファイを行いましたので、回路解説とモディファイポイントを解説しようと思います。

あと、昔はあったのかもですが、日本語マニュアルがオンラインで見つからないので、私の備忘の意味も含め、英語版になりますがリンクを載せておきます。
https://www.fullcompass.com/common/files/12328-MarshallHazeSeriesManual.pdf
他アンプのモディファイ記事リンクも載せておきます。
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Marshall Class5
Marshall Origin50
Marshall 1987X
はじめに
Marshall Hazeって何故かあまりメジャーではないと言うか、市場にも球数的にはあまり出回ってないんですよね。
サウンド的にあまりMarshallっぽくないところが、Marshallファンにはあまり受け入れられなかったのでしょうか。
Marshallって高音域が遠慮なくガシャーンと出るところが特徴だったりするわけですが、Hazeって割とミドル寄りのモコモコしたサウンドで、全然Marshallっぽくないんですよね。回路を見ていくと、あーなるほどねーと思うところが所々にあり、モディファイのし甲斐があります。HazeもちゃんとMarshallになれます。
モディファイ前後のサウンドは動画にしてあります。
オリジナルで用意されていたスイッチを利用して、JCM800モードとIce-Crashモードの2つを切り替えできるようにしましたので、動画も2つ作成しました。
回路解説
では、入力部から順に回路を追っていきましょう。
入力~V1A

回路図上、ちょっと端折って書いてあって分かりにくいですが、INPUT端子から入力されたギター信号はP102→P2に来て、それからR29(グリッド抵抗)を通ってV1Aのグリッド(Gと書いてある端子)に入ります。
【補足1】
V1は1つ目の真空管という意味(つまり1本目のプリ管)で、A,Bというのは1本の真空管に増幅回路が2つ入っているのでそれをA,Bと呼んでいます。
プリ管で言うと、本アンプは3本あるので、V1A,V1B,V2A,V2B,V3A,V3Bと増幅回路が6つあります。
【補足2】
グリッドは入力、プレートはプラス側になっていて出力信号を取り出す部分、カソードはマイナス側になっていて増幅度・増幅周波数を決めるところです。
プレート(プラス)とカソード(マイナス)の電位差が大きいほど増幅度が高くなります。つまりプレートの抵抗を大きくすればするほど、カソードの抵抗を小さくすればするほど増幅度が上がっていきます。
まず、改善したいのがPoint1です。(Marshallサウンドを求めている人にとってはという意味ですが)
いきなり入力信号を100nのコンデンサ(C101)と100Ωの抵抗(R101)でグラウンドに落としているので、高音域がガッツリ落ちてしまいます。
こういう部分は除去してしまいましょう。
高音域を落とすことで耳に痛い成分を除去するということ自体は有効な手段ですが、歪みを作る前に落とし過ぎると、高音域の美味しい倍音は二度と戻ってきません。
ギターと同じで、信号は前段ほどサウンド全体に与える影響が大きいです。(ワウをかける位置をギター直後か歪みエフェクター後かで全然サウンドが違うのと同じです)
倍音を極端に落とさずに美味しい歪みのベースを作っておいて、後半で耳に痛い成分等を料理(調整)したほうが良い結果になりやすいです。
次に、Point2がカソード部分(Kと書いている端子)になりますが、ここは増幅度合と増幅する帯域を決める箇所です。
ざっくり、抵抗が増幅度合(低いほど増幅度が高い)、コンデンサが増幅する周波数(ある周波数より上を増幅)と理解しておけば良いです。
820Ω(R15)と22uF(C12)となっていて、抵抗値はよく見る定数ですが、コンデンサの22uFは結構大きいです。
820Ωは小さいので増幅度が高く低音域から高音域までかなり底上げしています。
これくらいの抵抗値の場合、コンデンサは0.68uFくらいが多いのですが、22uFなのでかなり低音域から増幅することになるので、V1Aではかなりファットな味付けになっています。
1959SLPやJCM800では2.7k/0.68uFくらいが定番の定数値なので、それくらいを目安に調整するのが良いと思います。
V1A~V1B(NORMALチャンネル)
増幅された信号はプレート側(Aと書いている端子)から出力されます。
そしてC34を通って、次段の増幅回路へ、という流れです。
Point3の22uF(C34)はカップリングコンデンサと言って、ある回路とある回路を切り離す(影響を与え合わない)という目的のものです。その際、コンデンサの値によって、どのくらい直流(=低音域)をカットするかもサウンドメイクするうえで要設計ポイントです。
22uFという定数は1959SLPのような昔のアンプでは一般的ではあるものの、このアンプはプリ管全部を使って増幅していくので(※)、初段では増幅後に低域をある程度カットして、タイトなサウンドにしたほうが、ハイゲインサウンドとしては良いと思います。おすすめは1/10の2.2uFです。
※1959SLPや1987のような四つ穴マーシャルでは、実は初段のプリ管の2つの増幅回路を、NormalチャンネルとBrightチャンネルでそれぞれ使います。
つまり、V1の片方(A or B)→V2A→V2B(バッファ的に使うので増幅度1)→V3(フェーズインバーターなので歪みが目的ではない)→パワー管という流れになっていて、JCM800以降と比べると歪み段が1つ少ないのです。
通常はV1Aで増幅された信号は右に流れていくのですが、C34から下に回路が伸びています。

ここは、下に「NORMAL VOLUME」とある通り、NORMALチャンネルのサウンドを調整する部分になります。
これを説明するには、NORMALチャンネルとOVERDRIVEチャンネルの切り替えがどうなっているかを解説する必要があります。
下図はNORMALチャンネルの場合の信号の流れを書いています。
基本的に信号は赤色を通っていきます。基本的にと言ったのは、実際はC34から右にも流れてV1Bを通りますが最後、右の黒丸部分で行き止まりになるのでV2Aには流れません。なので、生きた信号として通るのは赤線になります。
緑線・オレンジ線も信号として通りのですがここは高音域だけ通すルートと考えてください。
右の黒丸部分がRL1Bと書いてありますが、ここがスイッチになっていてチャンネル切り替えする部分になっています。
左の黒丸部分は本アンプのもう1つのスイッチであるブライトスイッチになっていて、OFFの場合は緑線を、ONの場合は緑線からオレンジ線を通ります。
そして、赤線に合流して後段(V2A)へ、という流れです。
では、再度、V1A増幅後の回路に戻ります。
ブライトスイッチの部分はOFFで左下のC44(47pF)、ONで右下のC46(150pF)を通ります。
C44、C46はボリューム(VR1)の上部の入力部分と中央の出力部分(ワイパー)の間に取り付けられていますが、これは「ブライトキャップ」と言って、ボリュームを落としたときでも高音だけは通してあげる回路です。Marshall系アンプには必ずと言っていい程ついています。
ギターのボリュームポットにコンデンサをつけて、小音量時に高音域をある程度維持できるように改造する場合があると思いますが、それと同じ原理です。
C44は47pFと小容量なので超超高域のみ通す、C46は150pFともう少し大きい容量なのでもうちょい下の帯域も通す、ということで、C46のほうが高域を幅広く通すのでハイが際立つ(=ブライトになる)という仕組みになっています。
V1Aのカソードを調整した結果、そこまでブライトにしなくてもいいという場合は、C44<C46は保ちつつも全体的に値を上げると良いと思います。
場合によってはC44は外してしまって、C46も上げるというのもアリです。
逆にもっとブライトにしたい場合は値を下げましょう。
V1A~V1B(OVERDRIVEチャンネル)
OVERDRIVEチャンネルの場合は下図のような信号経路になります。
ただし、V1B→V2Aの部分は次回細かく解説するので少し端折って書いています。
ざっくりこういう経路で流れると理解してもらえればOKです。

OVERDRIVEチャンネルの場合の信号の流れを見ていきましょう。

C34から右に流れてきたら信号はGAINノブに入る前に、Point5の部分に来ます。R84(470k)の大きめの抵抗で電流を抑えつつ、C53で高音域を迂回させてハイが落ちないようにしていますが、通常これはV1Bに入る前に行います。
ここに持ってきている意図が良くわかりませんが、ここは除去&JUMPして、直接GAINノブへ流しても良いと思います。
GAINノブについているC58はブライトキャップです。
47pFはかなり小さい値なので、ザクっとした抜けの良いサウンドにするにはもっと上げたほうが良いですね。470pF~4700pF辺りで調整するのが良いと思います。
Point6の前段のV1Aで増幅した信号を受け止めるのは心許ないので(Point5の部分を除去してなければこれでOKですが)、除去したPoint5のR84、C53を移植したうえで、C53を好みの値に変えるのが良いと思います。
470pFが定番の定数です。
Point7はカソード部ですが、C37はNot Fittedになっているので実装されていなかったと思います(忘れちゃいました)。1.5kの抵抗のみなのでタイトだけどダークなサウンドになります。コンデンサを追加したうえで、抵抗値をもう少し上げると良いと思います。
JCM800はこの部分が10k抵抗のみになっていて、あまり増幅はできないけど、抵抗値が高いことで真空管の特性からクリップが起きて独特の歪みが生成されます(cold clipperと呼ばれます)
80'sっぽい感じのザクっとした歪み感です。
私は、10k抵抗⇔抵抗+コンデンサをスイッチ切り替えにして、JCM800モード/Ice-Crashモードを切り替え可能な仕様にしました。
最後にPoint8ですが、横のR20はプレート抵抗と言って、真空管の増幅度に関係する抵抗で、高いほど増幅値が上がるのですが、Point8のコンデンサは高音域のみ通します。つまり高音域のになればなるほど抵抗値がゼロに近づいていくので、増幅度が下がります。よって、C20があることで高音域の増幅度を抑えています。(丸いサウンドになります)
Marshallライクなサウンドを目指す場合はこれは除去しましょう。
最後に
V1Bまででも結構なボリュームになりましたね。
次回は、V1Bで増幅された信号が流れていく部分から解説していきたいと思います。
Part2はコチラ
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