どうも、lenheyvanです。
すみません、だいぶ時間が空いてしまいましたが、
Marshall Class5モディファイの第三部の改造箇所の紹介になります。
(注)あくまでも私個人で勝手にやっているだけなので、マネされる場合は自己責任でお願いします。また、5Wアンプではありますが変なところ触ると感電の危険があるので十分ご注意ください。
第一部、第二部を読んでいないからはコチラからどうぞ。
回路図の番号(R1やC1など)が基盤にプリントされているので、基盤とにらめっこしなくても、すぐに該当のパーツを見つけられるので意外と簡単です。
それでは改造していきます。
マスタボリューム増設
5Wと言えど、1ボリュームだとアッテネーター無しでは家では使えないので、まずはマスターボリュームをつけます。
マスターボリュームを絞ってもゲインをできるだけ維持するために、最終段のプリ管の後ろにマスターボリューム設置します。
所謂、PPIMV(Post Phase Inverter Master Volume)です。
オリジナル回路ではパワー管(EL84)の直前のR24とR26で分圧してます。
100Kと470Kなので、約82%くらいの信号をパワー管に送ってます。
R26を除去して1MΩ程度のボリュームポットに置き換えると、マスターボリュームになります。
これによって、0%(つまり音量ゼロ)~約90%まで調整可能です。
R24の抵抗を除去して、導線に置き換える(スルーする)ことで100%まで調整できるようにしてもいいかもです。
新たな穴を開けたくないので、HeadPhoneセレクトスイッチを潰して、ここに設置します。
オリジナルはこうなってますが、
こんな感じになります。
HeadPhone端子からゴミが入らないようボルトで塞ぎました。
Ice-Crashサウンド化
(1)INPUT~V1A~V1B
ここからモディファイのメインに入っていきます。
モコモコして抜けの悪いサウンドを、パリッと乾いた心地よいディストーションサウンドへ調整していきます。
R20は470kから1Mに変更します。
(回路図は既に1Mになってますが、オリジナルは470kです)
これによって、GNDへ落ちる信号を少なくします。
ギターのボリューム回路と同じで、ここの抵抗値を小さくしていくと信号が減衰していくのと、音質的には高音域が丸くなっていきます。
C10は高音域だけを直接GNDに落とす回路なので、これは除去しちゃいます。
V1Aで増幅された信号はプリ管のアノード(A)の上から右へ流れていきます。
C9のコンデンサで低音域をカットしますが、通常、ここは0.0022uF(2.2uF)~0.022uF(22nF)が定番の定数値です。
初段は小さ目の数値、二段目(V1B後)はちょい大きい数値にするとキレの良いサウンドになります。ここでは2.2nFにします。
また、V1Aのカソード(K)の下にあるR18、C8も重要な部分です。
(カソードバイアスと呼びます)
抵抗値とコンデンサ値で、増幅する周波数帯域をコントロールできますので、色々な数値を試すと良いと思います。
カソードバイアスの増幅シミュレーションできるサイトがありますので、これを使うと便利です。私は、ここの計算結果を元に実際にアンプに組み込んでみて、後は耳で最終調整していく、というやり方をしています。
(カソードバイアス計算機)
Cathode Bypass Capacitor Calculator
(2)V1B~V2B
次はV1Bの後ろを見ていきます。
V1Bは、ここでバッファして信号を強くしてあと、イコライザー(EQ)を形成しています。R28、C20、C22、C20、C14とBASS、MIDDLE、TREBLEノブで周波数をいじれるようになっていて、ここの定数値はマーシャルの王道的な感じです。
以下サイトからEQ部分のシミュレーターソフトをダウンロードできるので、これを見ながら色々定数値を変えてみると楽しそうですね。
※海外のサイトのソフトウェアなので、インストールは自己責任でお願いします。
インストールして特に気になる事象は無いので問題ないと思いますが念のため・・・
(Tone Stack Calculator)
TSC
インストールすると以下の画面が出てきます。
ここで定数値を変えると、EQのカーブを変えることができます。
ちなみに、ご覧のとおりBASS、MIDDLE、TREBLEをフラット(目盛り5)にしても、中音域が凹んでいるのが分かると思います。
そうなんです、フラットと言いつつ、これがデフォルトなんですよね。
ギターの音質特性を踏まえ、かっこいいギターサウンドを得るための設計ノウハウですね。
EQ回路を通ると、次はV2Aに辿り着きます。
カソードバイアスはR21(6.8k)の抵抗のみですが、10k程度まで上げて引き締まったサウンドにしても良いですし(JCM800なんかはここが10k)、V1Aみたいにコンデンサを並列に入れて、よりアグレッシブに増幅するもアリです。
V2Aで増幅された信号は次にC2、R14、R12を通って、V2Bへ辿り着きます。
R14、R11は「マスターボリューム増設」でも記載したとおり、分圧で信号を落としています。
2つとも470kなので、ちょうど半分にしていますが、V1A,V1B,V2Aで増幅を強めに設計していると、信号をもう少し落とさないと発振する場合があるので、発振するようなら、R14の値を大きく(比率なので、もしくはR11を小さく)すると良いです。
逆に弱いようなら、逆にして試してみましょう。
また、V2B直前にR12が入っていますが、大体真空管に入力する前は、真空管保護で470k程度の抵抗を入れます(ただし、V1Aはギター入力して最初で弱い信号なので10-50k程度で十分です)
この抵抗に並列でコンデンサを入れることで、高音域を素通りさせてハイの抜けを強調することができます。Marshallで多いのは500pFくらいです。
ここも定数値を色々変えると面白いです。
また、カソードバイアスがR15の1.5kですが、ここもコンデンサを並列で追加したり、抵抗値を変えたりして好みの周波数特性にすることができます。
各増幅段のカソードバイアスは、音色に大きな影響がある部分ですので、一番、設計が面白い部分です。
最後に
いかがでしたでしょうか?
Marshall Class5のモディファイ説明でした。
企業秘密部分があるのでだいぶ端折ってますが、Ice-Crash Amps で実際にモディファイしたものはYoutubeにあげていますので、試聴してみてください。
モディファイ前からはだいぶ印象が変わっていると思います。
[Marshall Class5 Mod version1 by Ice-Crash Amps]
キレの良いIcyなサウンドに仕上げています。
アンプ直でもこれくらいアグレッシブなディストーションサウンドを得ることができます。
[Marshall Class5 Mod version2 by Ice-Crash Amps]
ボリュームを上げていくと破裂音が出てくるようにしています。
初期EVHのBrown-Soundテイストがあります。
Marshall Hazeの改造例もありますので、また今度記事にしようと思います。
それでは!