サウンドハウス

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ギター、エフェクター製作、オーディオなど、大好きな音楽の話をしていきます。

Marshall Class5 モディファイ ~第二部(回路解説)~

どうも、lenheyvanです。

Marshall Class5モディファイの第二部の回路解説になります。

※前編、後編の二部構成にする予定が、回路説明が結構長くなったので三部構成にしました。

第一部の「作業工程」はコチラ
↓↓↓

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最初に、回路全体を見てみましょう。

1.回路全体像


一番左がINPUTジャックです。
Class5はプリ管2本(12AX7)、パワー管1本(EL84)です。

V1A/V1Bが1本目のプリ管、V2A/V2Bが2本目のプリ管、V3Aがパワー管です。
真空管は基本的に増幅回路が2つ入っていて、たとえば1本目のプリ管だとV1AとV1Bの2回路になります。Marshall1959/1987なんかは1本目はV1A or V1Bのどちらかしか使ってません(チャンネルⅠ、Ⅱで使い分けている)。

V1AとV1Bを直列で接続して、GAINを稼いだのがRandyRhoadsがやっていたカスケード接続というものです。現行でも1959RRという製品名で販売されています。(もう製造中止したのかな?)

アンプの仕組みをもっと知りたい方は、解説本書いてますのでどうぞ。

kindle unlimitedに入っている方は「読み放題」に入ってますので無料で読めます。

 

真空管ギターアンプの仕組み(前編)
~回路図の解説~


真空管ギターアンプの仕組み(後編)
~モディファイの実践方法~

 

 

Class5はムッチリした音色というか、ローがガッツリ出ていてモコモコしています。
ハイはMarshallらしい、グラッシーな感じですが、ローが出すぎていて、ハイをスポイルしているような感じです。

回路図を見ると、狙っているやっているように見受けられます。

 

2.入力部~V1A

まずココ。

INPUT直後の部分です。

R20が470KΩになっていて、並列にC10が47pFで入っています。

通常、INPUT直後のR20は1MΩです。
※抵抗値が高いほうがハイ落ちせずにストレートに信号を後段へ送れます。

470KΩという少し小さめの値にすることでハイを少し落としています。

加えて、並列にC10というコンデンサを入れることで、更にハイを落としています。
47pFという小さい値なので超高域ではありますが、それでも効果は結構あります。

よく言えば太い音、悪く言えばモコモコしたスッキリしない音になります。



次にV1Aのカソードバイアス(※)を見てみます。

真空管のK(カソード)からGNDへ延びている部分のことで、どの周波数帯域を増幅するかに大きな影響を及ぼす大事な部分です。

R18の1.5KΩは割と小さ目なので増幅率は高めです。
ただ、C8が10uFと大きい値なので、低音域をかなり通す(=増幅する)ので、ローからハイまでガッツリ増幅しています。

V1AからC9を通ってVOLUMEに繋がってますが、これがVOLUMEノブです。

ココね↓

 

 

3.V1B~トーン回路

次に、VOLUMEからV1Bへ繋がるところです。
R9やR8,R10は1959や1987では見かけない部分ですね。

V1BのG(グリッド)に入る前にR9-R10-GNDとなってますが、これも少しハイ落ちさせていると思います。


次にトーン回路(EQ部分)です。
ここは定数を変えると、EQでいじれる帯域を調整することができます。

以下サイトで「Tone Stack Calculator」というソフトウェアをダウンロードできます。

https://www.duncanamps.com/tsc/index.html

簡単にトーン回路の動き方や、各定数を変えた場合に周波数帯域がどう変わるかを計算することができます。今のトーン回路に不満を持っている方にはかなり役立つと思います。



そこからV2Aへと繋がりますが、R22,23で分圧してますね。
ここは出力を半分にしています。

1959なんかだとVOLUMEになっていたりする部分ですが、固定で半分にしてますね。
分圧せずにV2Aに突っ込むと出力大き過ぎて発振してしまうからだと思います。

V1AとV1Bの音色が異なるようにしておいて、ここをVOLUMEノブを増設することで、VOLUMEⅠとVOLUMEⅡの調整で音色変えるなんて使い方も面白そうですね。


そしてR21はV2Aのカソードバイアスです。

抵抗だけ(特に高めの値)だとサウンドを引き締める効果があります。
6.8KΩなので引き締めるには十分ですね。

JCM800なんかは10KΩです。

ここまでの回路でモコモコサウンドにしてきたので、ここでバランスを取っていると思います。コンデンサを入れないことで、GAINを上げ過ぎずに、かつ、これ以上モコモコして使えないサウンドにならないようにしていると思います。

4.V2B~パワー管(V3A)

トーン回路を通った後、R14、R11でまた分圧して出力を半分に落としています。
そのあと、R12を通ってV2BのG(グリッド)に繋がりますが、R12の470KΩは一般的な数値です。

通常、増幅して来た信号を次の真空管に入力するときは保護回路として470KΩ程度の抵抗を挟みます。

カソードバイアスのR15はV2Aと同じく抵抗だけですね。
1.5KΩなので、増幅率は高めです。全帯域を増幅しています。


最後に、R24,26でまた分圧して出力調整して、V3A(パワー管のEL84)でスピーカー駆動レベルに信号増幅します。



 

では次回はいよいよ、回路図上、どの辺を改造したかを解説していきます。
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