(2022/9/4追記)
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kindleでエフェクター自作本を出版しました。
丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。
これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。
世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編) ~電子回路の解説~
世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編) ~配線レイアウトの解説~
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どうも、lenheyvanです。
エフェクター自作しているとクリッピングダイオードを色々試したくなりますよね。
私が今まで試したみたダイオードの感想を書いてみようと思います。
そもそもクリッピングダイオードって何?という方はこちらをどうぞ。
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今まで試したクリッピングダイオードの所感
ゲルマニウムダイオード
順方向電圧が0.2-0.4vくらいと低いので歪みやすいです。
その分、アウトプットボリュームは小さくなります。
歪みの質としては柔らかい歪み方ですね。古き良き時代の歪み方というか、トゲが無くミドルを気持ちよく歪ませてくれる気がします。
ダイオードは一定電圧(順方向電圧)以上になると電流が流れますが、ゲルマニウムダイオードはその電圧より低くても微量に流れることで、ハードクリッピングではなくソフトクリッピングになると言われています。
1N34a
ケンタウロス で採用されているので有名ですね。
初期MXR Distortion+もこれだったと思います。
1N系の中では一番ハイが出るダイオードだと思います。
粘りよりキレを重視したい方には良い選択肢だと思います。
1N60
ミドル寄りの歪みで、歪の質は粗めです。
暖かい感じの柔らかさがあるけど、歪みの粒が粗めなので暴れる特徴ももっており、ブリッジミュートすると気持ちいいです。
1N34aほどのキレは無いですが、粘りと太さはこっちのほうがありますね。
個人的にはブラウンサウンド感を感じられ、一番好きなダイオードです。
1N270
こちらもミドル寄りですが、1N60と違うのは歪みの粒です。
こちらは細かめで、上品な歪み方をします。
私の感覚ではSlashの歪みに近い気がします。
1N60がワイルドだとすると、こっちはジェントルな感じがします。
コード感もキレイに出るので使いやすいと思います。
粘りは1N34aと1N60の中間くらいでしょうか。
シリコンダイオード
順方向電圧は0.4-0.6vでゲルマニウムダイオードの2倍くらいです。
ゲルマニウムダイオードが木材だとすると、こっちは石材ですね。
暖かみは少なく、クールな歪み方をします。
1N4001
まず特筆すべきはミッドローです。
ロー寄りの歪みが好きな方にはピッタリ、ハイ寄りの歪みが好きな方にはキレが無いと感じると思います。
ギターで言うとレスポールという感じです。
ストラトに合いそう気がします。
1N400x系は下1ケタが大きくなるに従ってミッドローが強くなります。
ギターやピックアップがかなりハイ寄りなのであれば、1N4007なんかもアリかも知れません。
1N4148
シリコンダイオードの中ではミドル寄りで暖かみがあります。
(あくまでもシリコンの中ではという意味です)
ただ、ゲルマニウムダイオードのように密度の濃いミドルではなく、割と歪みの粒と粒の間にスペースのある歪みなので、クールな感じがします。
歪みの粒は粗めなのでワイルド系なのですが、「1N60だとちょっと濃いな~、もうちょっとスッキリ系にしたいんだよなー」という方にはピッタリかと思います。
LED
マーシャルのガバナーで有名なLEDです。
クリッピングした時にピカッと光るのが楽しいです。
通常はケースに入れてしまうので見えませんが、穴をあけてこれを見せるようなディストーションを作っている方はたまに見かけます。カッコイイですよね。
サウンドについては、シリコンが石材だとすると、こちらは分厚い氷ですね。
ローとハイが良く出るので、ダイオード界のマーシャルです。
ローが出ているので分厚さを感じる一方で、ハイはトゲのある歪み方をするので、ブリッジミュートすると、ザクザクします。倍音も豊富です。
LED赤
赤色が一番順方向電圧が低いと言われています。
とは言っても、1.0vは超えているはずです。
赤で低めのもので1.2-1.5v程度ではないかなと思います。
これくらいの順方向電圧だと、ピッキング時に結構明るくピカッと光ります。
これだけ順方向電圧が大きいと、アウトプットボリュームも大きくなりますので、アンプを強くプッシュしたい方には良い選択肢になると思います。
クリッピング用は赤の3mm(小さいやつ)を選ぶと良いと思います。
LED青など
青や紫のような寒色系は順方向電圧がかなり高めです。
そのため歪みにくい、良く言えばヘッドルームが大きいのでダイナミクスが出やすいです。
あまり歪ませたくないけど、ノンクリッピング(俗に言うダンブルモード)だと物足りないので、少し味付けしたいという方には良いかも知れません。
MOSFET
ちょっと変わり種のMOSFETです。
トランジスタの一種なのでダイオードではないのですが、クリッピングに使える素材なので取り上げてみました。
Zendriveで有名ですね。
音色としては一言でいうと、分厚くサウンドです。
人に寄っては暑苦しいと感じる方もいるかも知れません。
コンプ感も強めなので、独特の感触があります。
2N7000
私的にはB'z松本サウンドに感じました。
太くコンプ感が強いサウンドで、音の芯がしっかりしている感じです。
それでいて、ピッキングしたときのニュアンスはちゃんと出ます。
ただ、音の芯がしっかりしているので歪みを上げていっても潰れることはありません。
理性を保ったままHOTになる感じですね。
最後に
歪みエフェクターに一番影響するのはオペアンプとクリッピングダイオードだと思ってますが、各製品、色が全然違っていて、すごく面白いです。
ソケット化してしまえばお手軽に試すことができるので、自分の歪みを追及したい方にはすごく楽しい作業かと思います。
オペアンプの記事はこちらです。
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そして、エフェクターではなくアンプで歪みサウンドを確立したい方はコチラが参考になると思います。
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