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ギター、エフェクター製作、オーディオなど、大好きな音楽の話をしていきます。

超初心者向け徹底解説 〜【電子回路編(4/4)】distortion+の回路図解説「④クリッピング部」〜

(2022/9/4追記)

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丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。

これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。


世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編)
~電子回路の解説~

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編)
~配線レイアウトの解説~


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どうも、lenheyvan です。

前回は「③電源部」をやりました。
lenheyvan.hateblo.jp


今回は、「④クリッピング部」をやりたいと思います。

電子回路編の最終回です。

いつものように、こらを別タブで開いてください。この図を見ながら読んでもらえると理解しやすいと思います。

この部分は一番モディファイで楽しめる、自分のオリジナリティを出せるところかも知れません。

どんな質感の歪みにするのか、歪みはグシャとするのかナチュラルにいくのか、ハイ寄りかミドル寄りか、アウトプットボリュームはどの程度にするのか、ハーモニクス多めか実音強めか、etc...

では、いってみましょう!

「④クリッピング部」の解説

直流成分を除去(C5)

これは「カップリングコンデンサ」というやつです。

回路間を繋げるときに直流成分を除去することで信号を扱いやすくしています。
カップリングという名前の通り「組み合わせる」ということですね。

入力部で、オペアンプを動作させるために4.5vのバイアス電圧をかけたと思いますが、これを除去してあげるようなイメージで捉えてもらえれば良いです。

ここは容量によって除去する周波数帯域を変わるところなので、敢えて狭めたり広げたりすることで、積極的に音作りに利用することができます。
それは後述のモディファイネタ帳にて。

オペアンプを保護(R8)

入力部のR1でオペアンプ保護を行っているとご説明しましたが、こちらは出力部のオペアンプ保護です。
R1同様にお作法としてつけておく、という理解で良いと思います。

クリッピング(D1,D2)

さて、今回の肝であるクリッピング部です。

これは前回の電源部で少し触れましたが、波形の頭を潰す(切り取る)と音が歪むと言いましたが、
まさにそれを行う部分になります。


では、クリッピングの仕組みの説明にいきましょう。
まず、D1,D2はダイオードです。

ダイオードは一定電圧以上になってはじめて電流を流すという特性があります。

電流を水に置き換えると、土嚢を置いて水の流れを堰き止めている状況をイメージしてみてください。
こんな感じです。

水の流れ=電流、土嚢=ダイオード です。

水の勢いが弱いときには土嚢に阻まれて水は流れません。
つまり、電流は流れないわけです。

しかし、水の勢いが強くなってくると土嚢を乗り越えて水が流れます。

土嚢を乗り越えた部分は水の勢いが強く(=電圧が高い)、
土嚢を乗り越えられていない部分は水の勢いが弱い(=電圧が低い)、と思ってください。

土嚢=ダイオードと説明しましたが、土嚢の高さ=ダイオードの順方向電圧 と言います。

順方向電圧とは、これ以上の電圧になると電流が流れちゃうよ、という閾値のことです。


では、ちょっと回路図に戻ってみましょう。

D1,D2の先はGNDに繋がってますよね。
ということは、D1,D2を通過した電流は捨てられるわけです。

D1,D2を通過する電流とは何でしょうか?

そうです!

土嚢の高さを超えた水、つまり、順方向電圧を超えた電流です。

例えば、このdistortion+で使わている1N60(初期は1N34aかな?)はゲルマニウムダイオードという種類のダイオードですが、順方向電圧は低めで0.2v程度です。
そのため、オペアンプから出力された信号の内、0.2vを超えた信号のみダイオードを通過してGNDへ捨てられます。

その結果、こういう波形になります。

こうすることで、歪みを生み出しているわけです。

高周波ノイズを除去(R8,C6)

ここでもR8が出てきますが、はい、ご推察のとおり、ここはR8とC6でローパスフィルターを形成しています。

例のごとくElectricdocで計算してみるとこの通り。
超高域の15.9kHz以上をフィルタリングしています。これによって、高周波ノイズを除去しています。

出力ボリュームを調整(R9)

最後のR9は可変抵抗になっており、OUTPUTノブにあたります。

ここは単純で、OUTPUTをMAX(右に回し切る)にすると0Ωになるようになっており、信号がそのまま出力されます。
MIN(左に回し切る)にするとGNDに直結され、信号は全てGNDに落ちます。よって、音が出なくなります。
中間くらいだと、半分捨てて、半分出力という感じです。

ギターのボリューム回路と同じですね。

モディファイのネタ帳

音を太くする/シャープにする(C5)

ここはカップリングコンデンサと説明しましたが、コンデンサなので容量を大きくすると通過する周波数帯域が低域方向に広がります。
逆に容量を小さくすると狭まります。

サウンドへの影響としては、容量が大きいと低音が強くなり太くなります。
容量が小さいと、切れの良いサウンドになります。

ただ、どちらもやり過ぎは良くなくて、大き過ぎると重くもたつくサウンドになりますし、
小さ過ぎると細くてショボイサウンドになります。

個人的にはデフォルトの0.5~1.5uFくらいが良いバランスだと思います。

クリッピングの効きを調整(R8)

オペアンプの保護の役目もありますが、実はこれクリッピングの効きに影響します。

抵抗値を小さくすると、勢いよくOUTPUTへ向かって出力されていくのでスッキリしたサウンドになりますが、クリッピングがあまり効かなくなります。

D1,D2へかかる電圧が弱くなりクリッピングされなくなるんですね。
(勢いが良すぎるためD1,D2に流れず、真っすぐOUTPUTへ行っちゃう感じですね)

逆に抵抗値を大きくすると、入力部のR1と同じように若干泥臭さが出てきます。
(良い悪いではなく。それを良しとするかどうかは自分の耳で判断です。)

10kくらいだとしっかりクリッピングもされますね。

色々試してみましたが、100kくらいにしてもクリッピング感(歪み感)は変わらずに
泥臭さが強くなったので、しっかりクリッピングさせるためには10kあれば十分でしょう。

歪みの質感を変える(D1,D2)

ここは一番お手軽に、かつ、音色を変えることができるので楽しいところです。

デフォルトではゲルマニウムダイオードと説明しましたが、これは割と粗めで、かつ、暖かいサウンドです。
バリバリと歪むけど耳に痛い成分はそこまで出ない
、という感じでしょうか。

順方向電圧はかなり小さく0.2vなので、0.2v以上は捨てられます。
これがdistorton+の出力が低めである所以ですね。

例えばここをLEDに変えると、順方向電圧は2.0~3.5vになります。(種類によって異なります。赤は低め、青・白は高めです)
そうするとアウトプットされるボリュームが大きくなります。これは劇的に違いますね。

また、LEDは割と冷たい感じのザクザクしたマーシャル風の歪み方になります。
これはダイオードの特性によるものです。

順方向電圧を超えると電流が流れます、という説明をしましたが、実際は超える前にも少しチョロチョロ流れています。

LEDだと順方向電圧を超えるまではほぼ流れず、超えた瞬間一気に流れます。そのため波形は鋭くなります。
一方、ゲルマニウムダイオード順方向電圧に達していなくてもチョロチョロ流れるので、波形は緩やかになります。

このようにダイオードにも種類が色々あって、紹介したゲルマニウムダイオード、LEDのほかにも、
シリコンダイオード、ツェナーダイオード、などあり、それぞれ歪み方、太さなど色々なファクターが違います。


もう1つ説明しておくべきことがあって、それは対称クリッピングか非対称クリッピングかです。

デフォルトでは1N60の対称クリッピングになっています。
何が対称かと言うと、順方向電圧です。順方向電圧が同じということは交流成分のプラス側もマイナス側も同じようにクリッピングすることになります。
一方非対称ではクリッピングでプラス側とマイナス側で文字通り非対称になります。


対称クリッピングだと、奇数次倍音が多く、偶数次倍音は少ないです。

奇数次倍音が多いとおとなめで音の輪郭がハッキリしたサウンドになります。
実音をベースに置いた男らしいストレートサウンドです。

一方、偶数次倍音が多いと派手でキラキラしたサウンドになります。
実音よりもハーモニクスが目立ち、ピッキングしたときのアタック感なんかも強くなります。
また、ダイナミックレンジが広くなるのでボリュームも大きくなります。

デフォルトは1N60を2つ使った対称クリッピングですが、片側を2つにして、非対称クリッピングにするだけでもサウンドが大きく変わります。

また、大胆にこのD1,D2を外してしまうという選択肢もあります。
これは俗に言うダンブルモードというものです。
この場合、クリッピングしないので、アウトプットボリュームは最大限に大きくすることができます。

スイッチでクリッピング有無を切り替える改造なんかも良くありますね(ディストーションモード⇔ダンブルモード)

ただ、クリッピングしないと言っても、実際はオペアンプ側で多少頭打ちになるのでそこでソフトにクリッピングはされます。

音色の硬さを調整(C6)

デフォルトでは15.9kHz以上をフィルタリングしていますが、これを取っ払うと、もっと固めのサウンドになります。

MXR初期のビンテージ物を持っていますが、現行品より硬めでクッキリしたサウンドなので、取っ払うと近づけるかも知れません。
ただ、その分ノイズも少し多めになると思います。
現行品に近づけるという意味では、信号ラインのコンデンサをフィルムコンデンサではなくセラミックコンデンサを多用するのもアリだと思います。

逆に容量を大きめにすると角の取れたマイルドなサウンドになります。
やり過ぎるとモコモコしてキレの無いサウンドになってしまいますが、0.05uFくらいまでは使えるサウンドです。(このときのカットオフ周波数は約3kHzです)
下げれば下げるほどノイズは減ります。

モタつきを改善

これは回路の追加になりますが、お勧めのモディファイです。

以下を赤丸部分を追加します。

C5とR10でハイパスフィルター形成していて、通過した低音域をGNDへ捨てています。

ただ、やり過ぎると、低音がスカスカになってしまいます。
上の図では159Hz以下をカットしています。

エディのブラウンサウンドって低音は出過ぎてないんですが、100-200Hz辺りをカットするとかなり近づきます。
こうすることでミッドをしっかり歪ませることができるんですね。

最後に

これで電子回路編は最終回です。

ここまで読んだあなたはもう自分でモディファイすることができるようになっているはずです。

各パーツの意味、仕組みをもう理解していますからね。

distortion+好きなんだけど、もうちょっと太さが欲しい、ノイズを減らしたい、アウトプットボリュームを大きくしたい。
これに対してどうアプローチすれば良いかはもう分かったと思いますので、是非、色々試して楽しんで欲しいと思います。
※自己責任でお願いいたします。m(_ _)m

また、distortion+に限らず、非反転入力回路を使ったディストーションエフェクターはこの知識が適用できると思います。

みなさんの求める歪みサウンドの追及に少しでも役に立てていたら嬉しいです。



ただこれで終わりではありません。

オリジナルのエフェクターを自作したいけれども、
 ・ケース加工ってどうやるの?
 ・ケースにオリジナルのデザインしたいんだけど
 ・ケースの上にアクリル板載せてカッコよく作りたい
 ・トゥルーバイパスの配線分からないんだけど
 ・スイッチ使って音色の切り替えしたいんだけど配線分からん
 ・可変抵抗(ポット)でゲイン調整したいんだけど
 etc...
という方向けに【ケース加工・配線編】の連載を予定しています。


また、音色への影響がかなり大きい、オペアンプダイオードについては比較評価したネタがあるので、それもアップしようかと思っています。


それでは、ここで電子回路編は以上となります。

長々と読んでくださり、ありがとうございました。


超初心者向け徹底解説 〜【電子回路編(3/4)】distortion+の回路図解説「③電源部」〜

(2022/9/4追記)

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丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。

これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編)
~電子回路の解説~

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編)
~配線レイアウトの解説~


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どうも、lenheyvan です。

前回は「②増幅部」をやりました。
lenheyvan.hateblo.jp


今回は、「③電源部」をやりたいと思います。

いつものように、これを別タブで開いてください。この図を見ながら読んでもらえると理解しやすいと思います。


「電源部かー、どうせ電源をオペアンプに供給したりLED光らせたりするくらいでしょ」と思ったあなた。

ちょっと待ったです!

確かに地味なんですが、かなり重要なパートです。
ここの出来次第でノイズを抑えたり、レスポンスの良い安定したサウンドを下支えしたり、エフェクターの品質にもろに表れるところです。

では、いってみましょう!


「③電源部」の解説

電源をオペアンプへ供給

はい。文字通りそのままです。

以前説明したとおり、シングルオペアンプだと7番端子が電源なので、ここに繋ぎます。

以上。


9V電源を分圧(R5、R7)

抵抗2本を直列に繋げると分圧と言って、電圧をその抵抗比率によって分けることができるんです。

例えば、次のように、9v電源の先に抵抗が1MΩと500kΩの2本が繋がっているとしましょう。
9vの電圧の2/3が1MΩの抵抗に、1/3が500kオームの抵抗にかかります。


これは単純に、抵抗の比率=電圧の比率となっています。

じゃあ、R5とR7はどうかと言うと、同じ抵抗値なので、4.5vずつに分圧されます。

「で?それが何か?」

ってなりますよね。

ただですね、これがかなり重要なんです。
この分圧がないとギターの信号はちゃんと歪んでくれません。

次の絵を見てください。

入力されたギターの信号はこうなってます。
基準電位が0vになっていて、0v〜9vの間を行ったり来たりします。

歪ませるには、これじゃ、ダメなんです。

何故ダメかと言うと、この状態だとプラス側にしか振れていません。
オペアンプで増幅するためにはプラスとマイナスの両方に振れる必要があります。

ではどうすれば良いかと言うと、基準電位を0から中点である4.5vへ引き上げるんです。


どうでしょう。分かりましたか?

整理すると、オペアンプは正電源(+)と負電源(-)で動作します。
一方、ギターの信号は0-9vなので、4.5vを与えることで、仮想的に正電源(+4.5v)と負電源(-4.5v)を作り出します。

これを、バイアス電圧と言います。


ここまでで理屈は分かったので、では次にこれを電子回路上どうするかを説明します。
やり方は簡単です。単純にオペアンプへの入力信号にこの電圧を与えるだけです。

R6の上に繋がっているのはどこですか?

そうです、非反転回路の入力部の信号です。

このように4.5vを入力信号に加えてやることで基準電位が0→4.5vに変わります。
これで上図の状態になりました。

そして、これを次の絵のように潰すと歪みサウンドの出来上がりです。
潰し方は次回の「④クリッピング部」で説明します。


【補足】
ーーーーーーーーーー
波形の頭が潰れると歪むと言うのは、イメージしずらいかも知れませんので、身近な例を考えてみました。

運動会で先生たちが使う拡声器を思い出してみてください。

「は〜い、こっち並んでね〜」

これはクリアな音です。



「コラァッ!そこの後ろふたりぃ!!いつまでしゃべってんだぁー!!」

これはどうでしょう?

はい、そうです。過大入力によって音が潰れます。

つまり、拡声器が許容している入力レベルを超えてるのですが、拡声器はそれ以上大きな音は出せませんから、頭が潰れるんです。この結果、

「ゴガー!ボボブブダギィ!!ヴィズバべジャブボッベンバーッ!!」

となるわけです。

素晴らしい!
まさに、ディストーションサウンド


これはギターアンプでも同じです。
昔のアンプはサックスに負けないように、単純に音を大きくするだけでした。
それが、過大入力することで音が潰れ、そのサウンドがカッコイイことに気づいた先人達は積極的にそのサウンドを使っていったわけです。

これが歪みサウンドの始まりです。

このように真空管は過大入力で潰れて歪みますが、これを電子回路で行うものが歪み系エフェクターです。
ーーーーーーーーーー

ノイズ除去(C4)

ここは、電源のノイズを捨てる場所です。
C4の先がGNDになっていて、通過した信号を捨てています。
コンデンサを通すことで高周波ノイズを捨てています。

ノイズ対策という意味では電池が最強ではあるのですが、電池切れの心配しながらステージに立つのって余計な心配が増えてしまいますよね。
なので、ACアダプターを使う人が多いと思いますので、ここを疎かにしていると電源ノイズに悩まされることになります。

モディファイのネタ帳

電源部はモディファイネタはあまり無いのですが、少し紹介しておきます。

バイアス電圧をズラす(R5、R7)

4.5vは中間点ですが、この中間点を微妙にズラすことで、上と下の波形の中央点がズレます。
すると何が起こるかと言うと、上の波形(プラス側)と下の波形(マイナス側)の潰れ方が非対称になります。

これを非対称クリッピングと言います。

実は真空管で生じる歪みは、上下の対称ではなく、非対称なんですね。これをいち早く取り入れたのが、BOSS OD-1、SD-1です。
※ OD-1、SD-1はあくまでクリッピング部でこれをやっているわけで、バイアス電圧をズラしているわけではないです。(念のため)

非対称だとハーモニクスが出やすくなり色気のある音色になります。対称だと実音強めのストレートな男らしい歪みになります。
これはどっちが良い/悪いではなく、完全に好みです。

レールスプリッターを使う

抵抗での分圧の話をしましたが、これを勝手にやってくれるレールスプリッターなるものがあります。

これを使いつつ、ガッツリ低音域以外を捨てる(つまり交流成分を捨てる)と電源が安定します。

ACアダプターは電池と比べると不安定なので、電圧が急に下がったりします。
例えば、電子レンジを回し始めたら一瞬電気が暗くなったりしますよね。あれは瞬間的に電圧が下がってます。

これをコンデンサでうまく電圧変化の波を吸収してやって、安定化させます。
そうすると、歪みサウンドの土台がしっかりすることになるので、出音がブレないんですよね。

私はこんな感じにしてます。

33Ωの抵抗の先に、220uFのコンデンサが並列にあります。並列なので440uFになります。

これはローパスフィルターを形成しています。
例のごとく、Electricdocで計算すると、10.9Hzです。

10.9Hz以上をGNDに捨てるわけですから、もうこれはほぼ直流です。信号ラインでは無いので、これくらい大胆にいっちゃって大丈夫です。

交流の帯域を捨てることで、電圧変化に強くしているわけです。

最後に

サクッと終わるかなと思ったら、意外とそれなりの量になりました。

バイアス電圧の仕組みは理解できましたでしょうか?

よく分からんけど4.5v与えとけばいいんでしょ、くらいの理解でも大丈夫です。ちゃんと動きますから。

次回は電子回路編の最後である、「④クリッピング部」をやります。

ここは、モディファイの選択肢が多く面白いところですので、お楽しみに♪


超初心者向け徹底解説 〜【電子回路編(2/4)】distortion+の回路図解説「②増幅部」〜

(2022/9/4追記)

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丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。

これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編)
~電子回路の解説~

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編)
~配線レイアウトの解説~


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どうも、lenheyvanです。

前回は「①入力部」の解説をしました。
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今回は「②増幅部」にいきたいと思います。
いつのように、これを別タブで開いてください。この図を見ながら読んでもらえると理解しやすいと思います。


増幅部は非反転増幅回路になっていて、負帰還部で入力信号を増幅しています。

以前に説明した記事はこちらです。忘れてしまった方は、こちらから復習しましょう。
↓↓↓

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「②増幅部」の解説

オペアンプの7番端子に抵抗(R5)から繋がっている線がありますが、これは「③電源部」で解説します。

信号を増幅(R2、R3+R4)

以前の記事に書いたとおり、抵抗の比率で増幅率が決まります

この回路ですと、R4という1個多く抵抗がついてますね。

R4には矢印が書いてありますが、これは可変抵抗を表していてDISTORTIONノブになります。
0~470kΩの間で調整可能です。

R4は左に絞り切ると470k(抵抗MAX)、右に絞り切ると0(抵抗MIN)となるように配線されていますので、MIN→MAXは470kΩ→0Ωということになります。

増幅率は(1+R2/(R3+R4))倍ですので、
R4がMIN(470k)の場合は(1+1M/(4.7k+470k))≒3.1倍、
R4がMAX(0)の場合は(1+1M/(4.7k+0))≒213.8倍です。


MAXで213.8倍という増幅率は、一般的なディストーションエフェクターとしては、あまり大きいな数字ではありません。

ただ、distortion+の場合はこれくらいの増幅率で十分なんです。
何故かは「④クリッピング部」で解説します。

周波数特性を決める(R3+R4、C3)

ここはdistortion+の肝となる重要な部分です。

またここでR3,R4が出てきます。
そうなんです。R3,R4は2つの役割を持っています。

増幅率を決める役割と周波数特性を決める役割です。


では、周波数特性とは何でしょうか。

純化のため、R4は一旦、ここから少しの間、無いものと考えてください。
 つまり、0Ω(DISTORTIONノブを右に絞り切った状態)です。


「周波数特性」を学問的に説明してもわかりにくいので、簡単に説明します。

誤解を恐れずに言うと「増幅する周波数帯域」と思ってください。
そして先に言ってしまうと、この回路では周波数特性は720Hzです。

つまりこういうことです。

増幅率は周波数帯域が720Hzまではゆっくりあがっていきます。この帯域では増幅率は高くありません。
そして720Hz以上の帯域では増幅率が高い状態になっています。

簡潔に言うと、720Hz以上を増幅する、と言えます。


ちなみに、BOSS SD-1も同じ周波数特性になっており、割と定番の定数です。



ではこれの仕組みの解説にいきます。

まず、C3、R3+R4でハイパスフィルターを形成しています。

AndroidアプリのElectricdocで計算させてみましょう。

R4はここでは無視するのでC3とR3の定数を突っ込んでみます。
※抵抗を直接に接続した場合の合成抵抗値は、単純に加算するだけです。



オペアンプの解説をしたときに、3番端子(非反転入力)と2番端子(反転入力)の電位差はゼロになるように動作するとお話しました。

つまり、ハイパスフィルターで信号がGNDへ逃げていくので、その分、オペアンプは電位差をゼロにするために増幅します。

言葉だけだとわかりにくいので絵を描いてみました。

周波数 a < b < c とすると、

周波数 a は少しだけ増幅(小)、
周波数 b はまあまあ増幅(中)、
周波数 c はめっちゃホリデー増幅(大)、

となります。


というわけで、DISTORTIONノブを上げていくと、派手でバリバリした歪みが出てくるのは、高音域がブーストされているからなんですね。


では、ここでR4も加えて話をしましょう。

R4は0~470kΩまでの可変抵抗です。
R4が大きくなればなるほど、周波数特性は下がっていきます。

例のごとく、Electricdocで計算させてみましょう。

R4がMIN(470k)の場合は7.1Hz、
R4がMAX(0)の場合は720Hzです。


そして、先程お話したように、R4は増幅率にも影響を与えます

R3,R4,C3の関係性をまとめると次のようになります。
R4によって増幅度と周波数特性が変わります。

R4がMAX(0)の場合が一番上の線、
R4がMIN(470k)の場合が一番下の線、
真ん中の線はその中間点です。

MAX :増幅率 213.8倍 周波数特性 720Hz
真ん中:増幅率 70.9倍 周波数特性 360Hz
MIN :増幅率 3.1倍 周波数特性 7.1Hz

となります。


いかがでしょうか?
非反転回路を使った増幅回路の仕組みは理解できましたでしょうか。

  • 増幅率はR2とR3+R4の比率で決まる。
  • 周波数特性はC3とR3+R4で決まる。

これだけです。
最初は一見難しそうに見える回路図も、理解すると意外に単純な構造だと思いませんか?

モディファイのネタ帳

ここまで来ると、メラメラと改造したい衝動が出てきませんか?

もっとゲインを上げたい、
もっと図太い歪みサウンドにしたい、
オペアンプを交換して自分好みのサウンドを探したい

なんて思うようになったら、あなたは既にエフェクターDIYの沼に片足はまっています。
いや、腰まで浸かっていると言って良いでしょう。

この沼にハマると楽しいですよ。
自分のアイデアを自分の手で具現化できるんですからね。

オペアンプ交換(各オペアンプの音色)については長くなるのでまた別途やるとして、
ゲインUpと図太いサウンドについてはここで紹介します。

ゲインUp(R2,R3,C3)

R2を大きく、R3を小さくすると、ゲインUpすることができます。
そりゃそうですよね。だって、R3とR2の比率がそのまま増幅率になるわけですから。

ただ、「そうすると周波数特性が変わってしまうんじゃないの?」と思われたあなたは賢いです。
そのとおり、周波数特性が崩れてしまいます。

なので、増幅率には関係しませんがC3も書いてあるのです。

周波数特性を変えずにゲインUpするためにはR2,R3と合わせて、C3も調整する必要があります。

例えば、よくモディファイするときに使われる定数として、R3を4.7k→1.0kにします。
そうすると増幅率は(1+1M/1k)=1000倍になります。

「213.8倍という増幅率は大きくないがdistortion+ではこれで十分」とお話ししましたが、
これはあくまでもオリジナルの場合の話であって、ダイオードをLEDに変えた場合なんかはこれくらいのゲインが欲しくなります。

周波数特性の話に戻りますが、このままだとR3が1.0k、C3が0.047uFなので、周波数特性は3.4kHzになります。
※例によってElectricdocで計算しました。

これだと、かなり高い周波数を高い増幅率でゲインUpするので、
線の細いキンキンした音になって、ゲインをちょっと上げると発振してピーピー鳴っちゃうと思います。

周波数特性を720Hzのままにするためには、C3を0.22uFにします。

R3が1.0k、C3が0.22uFだとちょうど周波数特性は720Hzになります。

これで、周波数特性は変えないまま、ゲインは213.8倍→1000倍へ上げることができました。

また、よくやるのが、R2を可変抵抗にしてしまうモディファイです。(GAINノブ)

DISTORTIONノブを上げたトレブリーなサウンドは好きなんだけど発振してしまって、そこまで上げられないというときに、GAINノブを下げることで、トレブリーなクランチサウンドを作ることができます。

ちなみにゲインは上げればあげるほど良いというものではなく、あまり上げ過ぎると、潰れて解像度の悪いモゴモゴしたサウンドになります。

ただ、音楽にルールなんてありませんので、そのサウンドをカッコイイと思えるなら、それは完全にアリです。

歪みの太さ(C3,R3)

オリジナルは主に720Hzから上を増幅しますが、この周波数特性を下げる方向に変えてやると太さがでてきます
ただ、その代わりに高音域の煌びやかさは減少します。

例えば、C3の定数を2倍にすると、周波数特性は720Hzの半分の360Hzになります。
C3の定数を2倍ということは0.44uFですので、0.22uFを並列にもう1つ付けます。

並列につけることで、スイッチで周波数を瞬時に切り替えするなんてこともできます。

コンデンサ並列に接続した場合の合成容量は、単純に加算するだけです。
 抵抗とは反対ですね。抵抗は直列の場合に加算するので。
 コンデンサの直列接続、抵抗の並列接続の合成値は数式がちょっと違って減少する方向にいきますが、ここでは必要ないので割愛します。

周波数特性が720→360Hzに下がるということは、歪ませる帯域が下がるということなので、
トレブリーなサウンドから、ファットなサウンドへ変化します。

最後に

負帰還回り(オペアンプ、ゲイン、周波数特性)と、
次々回に解説するクリッピング部の2か所は、出力されるサウンドに大きな影響を与えます。

モディファイするなら、まずはこの2か所から攻めるのが良いと思います。

では今回はここまでです。

次回は、地味ではありますがかなり重要なパートである「③電源部」にいきたいと思います。


超初心者向け徹底解説 〜【電子回路編(1/4)】distortion+の回路図解説「①入力部」〜

(2022/9/4追記)

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丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。

これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編)
~電子回路の解説~

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編)
~配線レイアウトの解説~


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どうも、lenheyvanです。

これまで、抵抗・コンデンサ、フィルター回路、オペアンプの解説をしてきました。
lenheyvan.hateblo.jp
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一応これでdistortion+のような、原始的な回路図は読める準備ができました。

さあ、いってみましょう。

まず、全体の回路図はこのようになっています。
これを別タブで開いてください。この図を見ながら読んでもらえると理解しやすいと思います。


おおまかには、赤枠の各パートに分かれていて、最終的に信号を増幅&クリッピングすることでディストーションをかけています。

今回から何回かに分けて、各パートを解説していきますね。

「①入力部」の解説

超高音域をカット(C1)

一番最初に小容量のコンデンサC1がGNDに繋がっていて、ローパスフィルターになっています。
ここで超高音域をGNDに落として捨てることで、ノイズを軽減してします。

※ノイズを軽減する代わりに、煌びやかさは失うわけで、そこはトレードオフになります。



でも、「あれ?おかしい」と思いませんでしたか?


そうなんです。フィルター回路ぽいけど抵抗が無いんです。実はこうなっている回路はよくあります。

カットオフ周波数はちゃんと計算できますが、インピーダンスという初心者にはちょっと取っ付きにくい話が出てきます。
私の記事は素人の方がディストーションを自作できることを目標にしているので、ここでは話しません。
(というか、私自身もプロの方に最近教えて頂いたくらいなので、適切に解説できるか自信が無いです。。)



【興味が無い方は読み飛ばしてください】
-------------------
少しだけ説明すると、一言で言うと、直流回路における抵抗が「抵抗」、交流回路における抵抗が「インピーダンス」です。


抵抗はRで表現し、V=IRと説明しましたが、
インピーダンスはZで表現し、V=IZです。


コンデンサの説明の時に交流を通し直流を通さないとお話ししましたよね。
これを言い換えると、高周波(より交流に近い)はインピーダンスが低く、低周波(より直流に近い)はインピーダンスが高い、ということになります。


まあ、この辺の小難しい話は知らなくてもディストーションは作れますので、気にしなくて大丈夫です。

-------------------

低音域をカット(C2)

次にC2が、中音域~高音域だけ通すハイパスフィルターになっています。
これも先程と同じく、抵抗の無いハイパスフィルターです。

ここまでで、超高域と低音域をカットして、オペアンプに入る前段でサウンドを整えてます。

オペアンプ保護(R1)

10kの抵抗になってますが、これはオペアンプ保護用です。
大きな電流がオペアンプに入力されるとオペアンプが壊れるので、通常1~10k程度の抵抗をここに入れます。

※R1からオペアンプへ入力する途中、R6から線が繋がっていますが、これは「③電源部」で説明します。

モディファイのネタ帳

歪ませる帯域調整-高音域(C1)

容量でカットする周波数を変えることができます。
小さくすると煌びやかだけどノイジー(煌びやかさMAXにしたいなら外してください)、
大きくするとノイズをより抑えられるけど煌びやかさが失われていきます。


歪ませる帯域調整-低音域、コンプレッションの調整(C2)

容量を小さくするとキレがよくなるけど薄くなる、
大きくすると太くなるけど低音域がモタつきます。

また、良くも悪くも、低音域が多めだとコンプレッション感も上がります。

歪みの質感の調整(R1)

ここはサウンドへの影響はあまり大きくないです。
抵抗が大きい方が若干Dirty(良い意味で泥臭い)、小さい方がClear(スッキリ)かなという印象です。

Keeleyモディファイではここの抵抗や、R8を4.7kにしていたはずです。

最後に

私はそれぞれのパーツの役割を耳でも確認したかったので、ボロボロのdistortion+を中古で入手し全パーツを外してソケットをつけました

出展:Garrettaudio

↑これを各パーツの足の部分に半田付けして、抵抗やコンデンサを差し替えるだけでサウンドチェックできるようにしたのです。

こんな感じです。

ソケットつけるのは中々大変ですが、一回やってしまえば後はめちゃくちゃ楽ですよ。

やっぱり理屈より最後は自分の耳ですからね。


ここで作業について、ひとつアドバイス

モノによりますが、市販品の半田はガンガン温めても、半田吸い取り線が吸ってくれない場合があります。
(特にオペアンプは難儀します。。)

そういうときは、取り外したい足の半田に上からさらに半田を盛ってから、吸い取ってみてください。

そうすると、自分がつけた半田を吸い取るときに元々の半田も一緒に吸ってくれるのでキレイに取れます

オペアンプダイオードのような熱に弱い部品は熱を与えすぎると壊れてしまうので、かなり有効な手段です。

このやり方を知らずに、何台の基板を壊したことか。。



では、今回はここまでです。

次回はこのエフェクターの心臓部である、「②増幅部」にいきたいと思います。



エフェクター自作講座【基礎編(3/3)】〜オペアンプ〜

どうも、lenheyvanです。

 

前回までで抵抗・コンデンサの役割、フィルター回路の説明までしてきました。

今日はオペアンプの話をしようと思います。

 

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(2022/9/4追記)
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kindleエフェクター自作本を出版しました。

丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。

これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編) ~電子回路の解説~

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編) ~配線レイアウトの解説~

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オペアンプとは

こんな虫のような形のICです。エフェクターの基板を見たことがある方は、見覚えがあると思います。

f:id:lenheyvan:20220312120041j:plain

 でも、オペアンプって何するもの?「心臓部」って言われてる分からんし、って感じですよね。

 

一言で言うと、信号を増幅(ゲインアップ)するものです。

まずはそのくらいの理解で大丈夫です。

 

オペアンプの種類

実はオペアンプには種類があります。

エフェクターで使われるものとしては、

があります。

 

なんてことはなく、シングルオペアンプは1回路入り、デュアルオペアンプは2回路入り、というだけです。

 

OD-1なんかは、クアッドオペアンプと言って4回路入りですが、1つのオペアンプに回路がいっぱい入っている、というだけのことです。

 

私がエフェクターをいじりはじめて、一番最初にやろうとしたのが、MXR Distortion+のオペアンプ交換です。

 

ド素人だったので、オペアンプを交換し、ウキウキして、さあサウンドチェック。

 

あれ!?音が出ない。

 

そりゃそうです。だって、シングルオペアンプ用の回路にデュアルオペアンプを載せちゃったんですから。

 

Distortion+は原始的な741系のオペアンプを採用しています。

μA741とかLM741というシングルオペアンプです。

(頭のμAとかLMとかは製造しているメーカーによって違うだけです)

 

そこに、デュアルオペアンプの定番であるRC4558Dをつけてしまったのです。

 

シングルオペアンプじゃダメということは理解できたのですが、どうしてもRC4558Dをつけたかったので、掲示板に投稿して、どうすればいいのかを聞いてみました。

 

知識が無くて言葉足らずだったんでしょう、意図がうまく伝わらず、

「やりたいことが分かりません」

「シングルオペアンプ用の回路ならデュアルは使えません」

「デュアルからシングルに変換したい意図が分かりません。わざわざそんなことする必要ないと思います」

と言われてしまい、途方に暮れました。

 

今では良い思い出です。

 

オペアンプの構造

これを見てください。(例のごとく手書きですみません)

f:id:lenheyvan:20210220101806j:plain

 

各端子の意味は次のとおりです。デュアルオペアンプのほうは1、2がついてますが、回路が2つなので、2個分使えるというだけです。

  • IN+:非反転入力
  • IN-:反転入力
  • OUT:出力
  • V+:正電源
  • V-:負電源

 

反転?非反転?

なんじゃそりゃだと思いますが、ここでは入力が2つあるという思ってもられば良いです。

出力は読んで字のごとく、オペアンプで増幅した信号を出力します。

正電源は、いわゆる電源のことです。エフェクターの場合ここに9v電源をつなぎます。

負電源はGNDにつなぎます。電位がゼロということですね。

 

どうやって増幅されるの?

ではどういう仕組みで増幅されるのでしょう?

 

非反転増幅回路

エフェクターでよく使われる非反転増幅回路で説明します。

Distortion+も非反転増幅回路を採用しています。

 

「非反転増幅回路」という難しい名前はひとまず置いておいて、まずはこの回路図を見てください。

f:id:lenheyvan:20210220105401j:plain

 

順を追って説明します。三角形のやつがオペアンプです。

①INから入力信号が入ってきます。(ギターの信号です)

オペアンプ非反転入力に入ります。(+のほう)

オペアンプの出力から二股に分かれていて、上のほうへいくと反転入力(-のほう)へ戻しています。これを負帰還と呼びます。

④負帰還があることによって、図にあるとおり、ゲインが(1+R1/R2)倍されて、出力されます。

 ※非反転入力(+)と反転入力(-)は電位差がゼロ(つまり同じ電位)になります。なります、というより、しようとします。そうなるようにするためにオペアンプは信号を大きくするように動作します。それが結果的に増幅となるわけです。

 

難しいように思えますが、上のような回路図になっていたらゲインが増幅される、増幅率は2つの抵抗値から算出できる、ということだけ理解できていればOKです!

 

ちなみに、非反転増幅回路というだけあって、この回路を通っても信号は「反転しない」です。位相という言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、信号の波(プラスとマイナス)をそのまま増幅します。

 

一方、反転増幅回路というものもありますが、そちらは位相が逆になります

つまり、信号のプラスとマイナスが逆になるということです。

 

通常はあまり気にする必要はないですが、以下のような2つの信号をMIXするブレンダ―のようなエフェクターでは、それぞれの位相を打ち消してしまうので気にする必要があります。

もちろん、このようなエフェクターでは位相を変えるスイッチがついているので切り替えるだけですが。

 

 

 

 

蛇足ですが、ギターのピックアップも向きがあります

フロントピックアップとリアピックアップを正しい向きにつければ、セレクターでMIXポジションにすると、2つの信号が合わさったものになりますが、片方を逆につけると打ち消しあっちゃうんです。

 

ただ、論理的には上記のとおり、それぞれ打ち消しあってしまい信号はなくなってしまうのですが(例えば+1.0v と -1.0vを足すとゼロですよね)、現実世界では微妙にズレるので、中途半端に打ち消された信号になります。

これをフェイズサウンドと言いますが、独特の面白いサウンドなので、敢えて使う場合もあります。ブライアンメイなんかはフェイズアウトしたサウンドが出るスイッチがギターに付いていますよね。

 

話を元に戻しますが、増幅は先程の計算式のとおりなので、例えばR1が1MΩ、R2が4.7kΩの場合、1000/4.7=212.7倍の増幅ということになります。

(これはDistortion+の定数です)

 

シングルオペアンプの回路にデュアルアぺアンプをつけれるのか?

冒頭の話に戻りますが、Distortion+のようなシングルオペアンプの回路にデュアルオペアンプをつけられるのか?ですが、オペアンプの構造」に記載した仕組みを知っていれば割と簡単につけることができます

 

もちろん回路を改造しても良いのですが、現代のエフェクターはプリント基板です。(緑色の板に、銅色の線が各パーツ間を道路のようにつないでいるアレです)

 

それを改造するのはちょっとハードル高いので、私は変換キットを作りました。

 

正直に白状すると、最初、プリント基板でやろうとして、ぐちゃぐちゃになって、最後はジャンパー線(今度説明します)で継ぎ接ぎフランケン状態にしてやっと音が出るようになったのですが、そんな苦労しなくていいです。

 

これが私が作ったキットです。2つのICソケットを使って作成しました。

 

上段にデュアルオペアンプを載せます。

画像がちょっと斜めになってますが、端子の番号は

 4 3 2 1

 5 6 7 8

です。

f:id:lenheyvan:20210220113034j:plain


シングルオペアンプ2つをデュアルオペアンプに変換する回路キットはよく市販されているのですが、これはいくら探しても無かったんです。

 

これがあると、すっと、シングルの回路にデュアルを載せてサウンドを試してみることができるのですごく便利です。そして作るのは超簡単です。

 

 デュアルオペアンプをD(画像の上段)、シングルオペアンプをS(画像の下段)とすると、こうすればよいです。

Dの1番→Sの6番

Dの2番→Sの2番

Dの3番→Sの3番

Dの4番→Sの4番

Dの5番→Sの5番

Dの6番→接続しない

Dの7番→接続しない

Dの8番→Sの7番

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これにデュアルオペアンプを載せて、シングルオペアンプ回路につけると、デュアルオペアンプの1回路だけ使用することになります。

RC4558Dなんかはシングル版は無いので、この回路で使いたい場合はこういうのがあると便利です。あくまでもサウンドチェック用なので、デュアルを採用するとなったら、回路設計はデュアル用にして作ってしまえば良いです。

 

最後に

オペアンプについてざっと解説してみました。

オペアンプという虫のようなパーツにちょっと親しみを感じてもらえたら幸いです。

 

よく電子回路の世界ではと呼ばれたりします。

 

ポタアンでもオペアンプは使われていて、製品によっては交換可能なものもあります。

ただ、オーディオとしては高性能なんだけどもエフェクターではイマイチ、

逆にオーディオ的にはローファイ過ぎてイマイチなものがエフェクターではいい味を出す、なんかはよくあることであり、そこがエフェクターの面白いところです。

 

もちろん、オーディオ用のハイファイなものがエフェクターにマッチすることだって当然あります。

 

一番は、色々試してみて、最後は自分の耳で判断することだと思います。

 

次回はいよいよ、Distortion+の回路図の徹底解説にいきたいと思います。

 ↓↓↓

 

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エフェクター自作講座【基礎編(2/3)】〜フィルター回路〜

どうも、lenheyvan です。

 

今日は抵抗とコンデンサを使ったCRフィルター回路のお話をしようと思います。

Cはコンデンサ、Rは抵抗です。 

 

前回お話しましたが、仕組みさえ覚えれば、計算はツールでやればいいのでめっちゃ簡単です。 

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(2022/9/4追記)
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ローパスフィルター

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ロー(低音)をパス(通過)するフィルターです。

つまり、低音域だけ通します

 

”だけ”はちょっと語弊がありますね。

正しくは、「ある一定の周波数以下を通す」です。

 

 仕組み

信号は左から右へ流れるものとみてください。

抵抗を通って、二股に分かれた下のほうにはコンデンサがついていて、その先にGND(※)があります。

※GNDは直訳すると「地面」です。調べると「基準電位との差がゼロ」とか出てきますが、電流のゴミ捨て場と覚えてください。そんなイメージで大丈夫です。

 

前回説明したように、コンデンサは高音域だけ通します。それを捨てるということは、つまり、二股の右には低音域だけ流れていくことになります。

 

はい、これでローパスフィルタの出来上がりです。

 

ハイパスフィルター

 f:id:lenheyvan:20210219234122j:plain

 

こちらはハイ(高音)をパス(通過)するフィルターです。

つまり、高音域だけ通します

 

 仕組み

見ての通り、ローパスフィルタの逆です。

 

コンデンサを通って、二股に分かれた下のほうには抵抗がついていて、その先にGNDがあります。

 

コンデンサは高音域だけ通し、二股に下の抵抗を通って低音域は捨てられます。つまり、二股の右には高音域だけ流れていくことになります。

 

はい、これでハイパスフィルタの出来上がりです。

 

なんかモヤモヤしませんか?

大抵こんな感じの説明がされていますが、「ちょっと待て待てい!」と思ったあなた。鋭いです。

 

結局、GNDに繋がっているコンデンサがあればローパスフィルターだし、

抵抗があればハイパスフィルターじゃん。初段の抵抗とコンデンサいらなくね?

 

はい、おっしゃるとおり。

あなたは正しい!!

 

最初の抵抗・コンデンサは別に無くてもいいんです。

 

じゃあ何でついてるのって話ですが、実はこの抵抗・コンデンサが無いと、どの周波数から下を捨てる/上を捨てるを調整できないんです。

 

カットオフ周波数

前回もちらっと出てきましたが、どこから捨てるかの周波数を「カットオフ周波数」と呼びます。

 

この絵をご覧ください。(手書きの汚い絵ですみません・・・)

f:id:lenheyvan:20210219235318j:plain

 

縦軸はゲインになっていて、0dbは素の信号です。

横軸は周波数になっていて、右に行くほど周波数が高くなります。

 

カットオフ周波数と赤字で書いている地点の周波数が、この周波数を境にカットしますよ(=カットオフ周波数)です。

 

厳密には記載のとおり、カットオフ周波数が-3dbの地点になります。

 

 

例えば、「いやー、ミッドローが多すぎてキレがないんだよなー。200Hzから下を削りたいんだけどなー」って時、ありますよね。

 

そんなときは、カットオフ周波数を200Hzにすればいいんです。

 

ローパスフィルタの抵抗を10kΩ、コンデンサを79.577nFにすれば200Hz以下をカットできます。

 

え?その数字どこから出てきたかって?

それはツールに計算してもらいました。

 

 

下の画像は私のAndroid携帯に入れている Electrodoc というアプリです。

(画面の液晶割れあり。。見にくくてすみません・・・)

 

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このアプリでR(抵抗)、C(コンデンサ)、周波数を入れると勝手に計算してくれるんです。

今狙ったカットオフ周波数は200Hzだったので、200Hzを入力して、Rは仮に10Kとしてみました。そうするとCが自動算出されます。このフィルタ回路の抵抗が仮に4.7kΩだと、Cの数値はまた変わります。

 

つまり、抵抗とコンデンサの定数で、カットオフ周波数をコントロールすることができるんです。

 

よくエフェクターの入力部の回路でもたつきになる低音域をローパスフィルターでカットしたり、ノイズの原因になる超高域をハイパスフィルターでカットしたりします。

 

次の例はかの有名なRangeMasterの入力部です。

 

ロリー・ギャラガーやブライアンメイが使用していたことで有名過ぎるペダルですが、YouTubeなんかで観てもらえれば分かるとおり、トレブルブースターというだけあって、トレブルがかなりゲインアップされたサウンドです。

 

例によって村田さんが、いつもの分かりやすい語り口で説明してくれています。

2:02あたりからです。


Treble Booster〜ロック・ギター・サウンドの礎を知る【デジマート DEEPER'S VIEW Vol.02】

 

回路的には、入力部で低音域をガッツリ削ってからトランジスタ(OC44というゲルマニウムトランジスタ)で信号を増幅しています。

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赤丸の部分がハイパスフィルターになっています。

コンデンサが0.005uF、抵抗が68KΩなので、ツールで計算すると、カットオフ周波数は468Hzより下をカットしています。

 

イコライザーを使う方ならわかると思いますが、ギターで468Hzというと、低音域ではなく、完全に中音域ですよね。

 

敢えて中音域から下をバッサリとカットすることであの独特のサウンドを生み出しているわけですね。まさにトレブルブースター。

 

私も結構好きで、何台か自作しました。

今は、一番状態の良いOC44のものを1つだけ保有しています。

ゲルマニウムトランジスタは個体差が結構あるんですよ)

 

最後に

 

どうですか。

割と簡単じゃないですか?

 

これが分かると、カットしたい音域を自分でコントロールすることができるので、イチから作らなくても、手持ちのエフェクターサウンド特性をチューニングするくらいは十分可能です。


例えば、今日ご紹介したRangeMasterの入力部にローパスフィルターも足して、高音域もカットすると、ハイミッドだけ残りますよね。

そうすると、ミドルブースターの出来上がりです。(バイパスとローパスのカットオフ周波数をうまく調整してバランスを取る必要はありますが)

 

そうすれば、マイケルシェンカーのようなワウ半止めサウンドだって作られちゃいます。

(抵抗とコンデンサの二つを足すだけで激変ですよ。面白くないですか?)

 

ここまでで、抵抗・コンデンサの役割、CRフィルターについて説明してきました。

 

次回はオペアンプにいきたいと思います。

↓↓↓

 

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エフェクター自作講座【基礎編(1/3)】〜抵抗・コンデンサ〜

どうも、lenheyvan です。

 

前回、これからエフェクターの自作の話をしていきますねーと言いました。

 

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世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編) ~配線レイアウトの解説~

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今回は連載1回目。

抵抗、コンデンサの話をしたいと思います。

 

と言っても、調べれば沢山出てくるので、難しい話はしません。必要最小限で。なぜならば、あくまでもMXR Distortion+のような原始的な回路を作れるようになるのが目標だからです。

 

抵抗

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出展:Garrettaudio

役割

一言で言うと、電流を通しにくくするものです。

 

どう使うかと言うと、分かりやすいのが、LEDです。

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出展:Garrettaudio
 

 

エフェクターにはON/OFFが識別できるようにほとんどの場合ついてますが、電源のプラスとマイナスにそのまま繋ぐと、電流が流れすぎて、LEDが壊れてしまいます。

 

なので、通常、1.0k〜3kΩ程度の抵抗を挟むことでLEDに流れる電流量をコントロールします。

 

私はいつも高輝度LEDに2.2kΩ、暗い場合は1.0kΩの抵抗をつけます。

 

じゃあなんで抵抗をつけると電流をコントロールできるかと言うと、高校で習ったオームの法則です。

 

V(電圧)= I(電流)×R(抵抗)

 

大体のエフェクターは9v電源だと思いますが、そこに2.2kΩの抵抗をつけると、

9 = I × 2.2k  →  I = 9/2.2k  →  I ≒ 0.0041(A)

 

となるので、4.1mAということになります。

 

抵抗が1kΩの場合は、(計算は省略)9.0mAです。

 

当然、通る電流が多い方が明るく光るわけですが、流しすぎるとLEDが壊れるので、抵抗でコントロールするんです。

 

じゃあ、回路上ではどう使うのか、が気になると思いますが、コンデンサと組み合わせてローパスフィルター、バイパスフィルターとして使うことくらい覚えておけば大丈夫です。

 

フィルター回路については次回ご説明しますが、

ローパスはその名の通り、ローをパス(通す)、

ハイパスはハイをパス(通す)します。

 

それによって、音の鈍さの原因になる低音域をカットしたり、ノイズの原因になる高音域をカットするわけです。

 

カットする周波数は、抵抗の値とコンデンサの容量(どちらも定数と言ったりします)で決まりますが、難しい公式を覚える必要はありません。

 

実際私も覚えてないです(というか調べたこともないです)

 

Webサイトやアプリで、抵抗とコンデンサの定数を入れると、周波数を瞬時に出してくれる便利なツールがあるからです。

 

この周波数を、カットオフ周波数と呼びます。

 

私はAndroidの Electrodoc というアプリを使っています。

有料にすれば全機能使えますが、私の場合はフィルター回路のカットオフ周波数を計算するくらいでしか利用していないので、無料版で十分です。

 

iPhoneにはどうやら無いようですが、探せば似たものがあると思いますし、Webサイトでもいいと思います。

 

種類

カーボンフィルム抵抗 と 金属皮膜抵抗(俗称:キンピ) があります。

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出展:Garrettaudio
 

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出展:Garrettaudio

 

カーボンフィルム抵抗よりキンピのほうが若干高価です。

違いは、キンピのほうが誤差が少ないところです。

 

コンデンサにも言えますが、例えば1.0kΩと言っても、実際にテスターで計ると、0.98kΩだったりします。

 

カーボンは±5%、キンピは±1%程度と言われています。

なので、フィルター回路でカットオフ周波数を厳密に決めたい場合なんかはキンピが良いと思います。

 

よくエフェクターの世界では、信号ラインにはカーボンが良い、キンピは高音がきつくなる、ということも言われたりしますが、実際のところ、ブラインドテストして聴き分けられる人なんていないんじゃないかとも思います。

 

そこは気分で良いと思います。

私は信号ラインは何となくカーボンのほうが気持ち的に好きです。

電源ラインはキンピを使っています。

 

サウンドを聴き比べてそうしているわけではなく、あくまで個人の気分なだけです笑

 

コンデンサ

一言で言うと、(誤解を恐れずに言うならば)

高音域を通してくれるものです。

 

ネットでしらべると、

・直流を通さず、交流のみ通す

電荷を蓄えたり(充電)、放出(放電)したりする

etc...

と出てくると思いますが、「高音域を通します」でいいです。

 

少しだけ補足すると、周波数が低くなるほど直流(プラス〜マイナスの波が無い)になっていき、周波数が高くなるほど交流(プラス〜マイナスの波が有る)になっていきます。

 

言い換えると、低音域は直流成分が多く、高音域は交流成分が多いと言えます。

 

コンデンサは交流のみ通す性質があるので、周波数が高くなるほど通しやすくなる、ということで、高音を通す、と意訳させてもらいました。

 

次に、コンデンサには種類があります。

それぞれの特徴とエフェクターではどう使われるのかを簡単にご説明します。

 

種類①:セラミックコンデンサ

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出展:Garrettaudio

 

【特徴】

 ・安価(市販のエフェクターでは良く使われている)

 ・基本的に小容量(5pF〜0.3uF程度)

  ※単位についてはググるとすぐ出てきます。

 ・高音域がキンキンしやすい(必ずしも悪いというわけではないです)

 

エフェクターでの使い所】

 ・小容量なので、フィルター回路で超高域をカットするところで使われることが多いです。

 ・信号ライン(ギターの信号が通る部分)で使うと高域が荒れるなんて言われることもありますが、それを個性にすることも出来ます。

  ※Distortion+なんかはセラミックコンデンサが信号ラインに結構使われているので、敢えてセラミックコンデンサを多用することであのファズっぽい高音が毛羽立つようなサウンドになっている気がします。

 

種類②:フィルムコンデンサ

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出展:Garrettaudio

 

【特徴】

 ・音質的には安定している

 ・セラミックよりはちょっと高価

 ・小容量から中容量までいける(300pF〜4.7uF程度)

 ・メーカーによって音質の違いが大きい(と、思ってます)

 

エフェクターでの使い所】

 ・電源回路以外なら、信号ラインからフィルター回路(ローパスでもハイパスでも)まで何でもいける

 ・使うメーカーを選定することで、狙った音質にチューニングしていく

 

種類③:電解コンデンサ

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出展:Garrettaudio

【特徴】

 ・音質特性はあまり良くないとされている

 ・中容量から大容量までいける(0.3uF〜数千uF程度まで)

 ・極性があるので、間違えないこと(無極性のものもあり)

 

エフェクターでの使い所】

 ・電源ラインで使われることが多い

 ・音質特性はあまり良くないので、信号ラインで使われることはあまり無い

 

他にもマイカコンデンサタンタルコンデンサなど色々ありますが、基礎知識としてはこの3つを抑えておけば大丈夫です。

 

最後に

 

どうでしょう。

 

抵抗とコンデンサの基礎知識ということで説明させていただきましたが、イメージつきましたでしょうか?

 

小難しい説明が出てくると敬遠しちゃってもういいやって気持ちになってしまうと思いますが、エフェクター作るだけなら、まずはこれくらいの知識で十分なんです。

 

もっと上を目指すならそのときに深く勉強すればいいので。

 

次回はフィルター回路の話をします。

 ↓↓↓

 

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超初心者でも作れる自作エフェクター講座

どうも、lenheyvanです。

頭の中にある究極の歪みサウンドを求めて

私が初めてエフェクターを自作しようと思ったのが2017年のことです。

ギター弾く人は分かると思いますが、自分の頭の中にある歪みサウンドを求めて、オーバードライブ・ディストーションペダルを取っ替え引っ替え試しては、「ここはいいんだけど、ここが~」っていうのを繰り返してました。

私の目指すサウンドはエディの1stで、あのYou Really Got Meのブリッジミュートの迫力あるリフのサウンドです。

それが一番近かったのが、マーシャルにBOSS SD-1 or MXR Distortion+ の組み合わせです。

SD-1は倍音の出方はキラキラして大好きなんですが、レンジが狭くなってしまうのと、ハイミッドはもう少し鼻詰まりな感じが欲しい。
Distortion+は鼻詰まり感があって大好きなんですが、ミッドロウがぼやけてしまうのと、OUTPUTが小さくてプッシュ感が弱い。

どちらかと言うとDistortion+が好みに近いんですが、これじゃ求める音にはならない。。
どんなエフェクターを買っても、満足できなかったんです。


自作エフェクターの世界へ

市販品じゃどうしてもダメなら自分で作ってみる?というのがエフェクター製作の世界に入ったキッカケでした。
そんな方、結構多いんじゃないでしょうか。

作るというより、最初は模倣+改造からです。

全然わかんじゃないか!!

ただですね、いざやろうとしても、
 R28を4.7kΩ→1.0kΩに変えるとゲインが~
 C3を大きくするとコンプ感が~
とか言われても、
 R28ってどこ?
 どんな役目?
 そもそも抵抗って何?
 コンデンサって何?
ですよ。

もー全く分からない。

そりゃそうですよね、だって基板も回路図なんて初めて見るんですもん。

電子工学なんてやったことないし、中学生のときにマニュアルに沿ってラジオを作ったことあるなーくらいですよ、経験なんて。


でも諦められない!!

でも、欲しい歪サウンドのためには、ここでは諦めません。
ネットを徘徊して諸先輩方のブログを読むこと数ヶ月、ほんのちょっとだけ分かってきました。

それから、こんなステップを踏んで自作エフェクターを作っていきました。
回路的にはほぼDistortion+なので超単純ですが、色々工夫することで上述の不満ポイントを解消したものです。


①ネットを徘徊して基礎知識を得る
②部品を調達
③現行のDistortion+のパーツを全部外して、抵抗・コンデンサをソケット化
④ネットの情報を元に抵抗・コンデンサの種類・定数を変えて、サウンドの変化を確認
⑤自分好みのパーツが整ったところで、回路図を書き出す
⑥自作エフェクターのデザインをイラスト化
⑦アルミダイキャストケース、アクリル板、レタリングシール等を用意
⑧穴あけ、アクリル板の加工、組み上げ

出会い

気づけば季節はもう冬です。半年くらい経ちました。

そんなとき、ちょうどネットを徘徊していたら、

東京エフェクターさんの「第5回 エフェクタービルダーズコンテスト」が2018年3月に
開催されることを知り、これは応募しなさいという神からのお告げだろうか、と思い、初心者ながら出品。


見事、散々な結果に終わり(遠方なので開催場所には行けませんでしたが)、郵送でも戻ってきました。
唯一、デザインだけ2位でした。肝心のサウンドは下から何番目かくらいでした・・・

まあ当たり前の結果です。

ただ、この時審査してくださったのが、藤岡幹大さんだったんですよね。
こんなショボイ初心者が作ったエフェクターを藤岡さんが弾いてくれたなんて、ただただ感謝です。

その直後に訃報を聞いて、ショックで言葉がありませんでした。
なので余計これには愛着があるんです。

これから少しずつ連載していきます

というわけで、こんな初心者の私が、今は自分が満足できるディストーションを作れるまでにはなったので
これからエフェクターの自作をやりたいなぁと思っている方へ向けて、わかる範囲でノウハウをお伝えしていきたいなぁと思います。

ちなみに、私はディストーションしか作れませんし、モジュレーション系とか他のエフェクターは分かりません。
理論的なことも良く分かってないです。
オペアンプなら分かりますが、トランジスタは何となくしか分かりません。

でも、こんな知識レベルでも自分が満足できるものは作れました。

今はディストーション回路を2段直列で繋いで、前段はプリアンプ的に、後段はパワーアンプ的にしたり、
プリアンプ部→パワーアンプ部への信号レベルを調節するつまみをつけたり、クリッパーを変えてBright/Fatのキャラクターを切り替えたり、LOWやHIGHをスイッチでコントロールすることもできるようになりました。

RandgeMasterクローンも作りましたし、モーメンタリースイッチを踏んでいるときだけSEND-RETURNに繋いだ任意のエフェクターを電源ONにするペダルをオリジナルで作ったりもしました。(踏んでるときだけFlangerをONにしたかったんです。)

どれも大したものではないですが、自分にとっては大きな意味を持っています。
(RandgeMasterなんて買ったらえらい高いですし、オリジナルペダルも市場にないから作ったので)

おれはビルダーになる!というような高いレベルを狙っている方向けではないと思いますが、私が初心者だからこそ逆に「そうそう、そこを丁寧に解説してくれる情報が欲しかったんだよね」というようなところは、分かっているつもりなので、噛み砕いて解説していければいいかなと思ってます。(ただ、分からないことは分からないと言いますので、悪しからず・・・)

知識のある方には、私がちゃんと説明できていないところ、間違っているところをご指摘いただけると勉強になるので嬉しい限りです。

では、これからよろしくお願いします。


(2022/9/4追記)

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初心者向けのエフェクター自作本を出版しました。

丁寧に分かりやすい構成を意識して書いていますので、素人の方でも体系的に一から理解できる入門書になっています。

これからエフェクター自作を始めたい方は是非どうぞ。
クローンやオリジナルエフェクター製作ができるところまでをカバーした内容となっています。

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(前編)
~電子回路の解説~

世界一分かりやすい歪みエフェクターの仕組み(後編)
~配線レイアウトの解説~


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塗装剥がし&オイルフィニッシュ&レリック加工のやり方

どうもlenheyvanです。

 

以前、フランケンギター作成についてお話ししましたが、次にやってみたのでオイルフィニッシュです。こっちのほうが楽にできましたので、木の質感を活かした仕上げがすき方にはお勧めです。

 

lenheyvan.hateblo.jp

 

では、工程を説明していきますね。

 

メルカリでWashburn N2を3万くらいで購入して、こいつをNunoのようなレリック加工してやろう企画です。オイルフィニッシュは初挑戦です。

初挑戦にはつきものの、ハプニングも途中ありましたが、何とか乗り切りました。

 

では、どうぞ。

 

1.サンディング

フランケンギターのときは、塗装剥がしをしてからサンディングしたのですが、このギターはオイルフィニッシュなので、いきなりサンディングして、表面のオイルフィニッシュを取り除いていきます。

作業前の状態はこんな感じ。前のオーナーさんが多少のレリック加工をしていたようですが、かなり薄く、黄色っぽい塗装がどうも好みに合いませんでした。

 

 

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では躊躇なくサンディングしていきます。

サンディングには、BOSCHのGSS23AEというオービルサンダーをフリマで入手して使っています。吸塵機能があるので、使いやすいし、中々パワーもあるので重宝しています。

 

 Before

After

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 元が塗装していないので分かりづらいかも知れませんが、サンディングしたことで表面が白っぽくなっています。

 

2.レリック

色々ネットで情報を集めると、革靴に塗る靴墨がレリック加工に向いているという情報が複数あり、用意してました。これは百均で十分です。

 

失敗したら、また削ればいいやと思い、心を無にして、エイッ・エイッ・エイッっとやってみました。

 

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すごい雑ですが、最後に手で細かくサンディングで整えていけばいい感じになる予感がします。

 

3.オイルフィニッシュ

オイルフィニッシュは定番っぽい、ワトコオイルをチョイスです。

色は、ちょい濃いめの廃材的な感じを狙って、エボニーを選択しました。

 

量は200mlあれば十分です。

あと、ハケを用意します。こちらは使い捨てするので百均で用意しました。

 

 レリック加工に(と言っても靴墨塗っただけですが・・・)このオイルを塗ると、靴墨部分が濃く浮き上がって、他の部分は廃材的な風合いが出るはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

オゥ!

 

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マイッ!

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ガーーー!!!

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真っ黒じゃんこれー

 

靴墨なんて完全に隠れてるしーーー

 

完全に色のチョイスを間違えました・・・

 

 

でもやっちゃったもんはショーガないです。

最後にサンディングで調整するとして、気を取り直して、このまま続行します。

 

ワトコオイルさんのHPにも書いてありますが、要約するとこんな工程で進めていきます。

作戦としては、7番目の工程で、厚めに表面に塗られたオイルを薄めに削っていっていきます。

 

1.サンディングして木地調整(240番くらい)
2.全体的にオイルを塗布(多過ぎると拭き取りが大変なので適度に)
3.15~30分程乾かす
4.ウエス(布)で表面に残っている浸透しきれない塗料を拭き取り
5.1時間程乾かす
6.再度全体に塗布(塗布量は一回目の1/3~1/4程度で薄く)
7.必要に応じ、240~400番の耐水ペーパーで表面が塗れた状態で研磨 ←ここで挽回
8.表面の塗料を完全に拭き取り
9.乾燥するまで24時間以上放置

 

で、7番目までやった結果はこれです。

 

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だいぶ薄くなりました。

オービルサンダーで全体をサンディングしながら、濃いところを残すように縦に手でやすりがかけていきました。たぶん、1時間はやっていたと思います。疲れました・・・

 

もはや靴墨なんて跡形も無いです。

その後30分くらいやって仕上げました。

 

何とか形になりました。

 

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4.ワックス掛け

木材に湿気が入らないようにするのと、表面保護のために、最後はワックスで仕上げをします。

 

これまた定番と思われるワトコワックスでいきます。

色はナチュラルを用意しました。

 

エス(布)で塗布し20分程放置し余分なワトコワックスを拭き取り、を2回繰り返します。

 

 

5.組み上げ

 最後に電装系を組み上げて完成です。

 

 

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何とかいい感じになりました。

すったもんだありましたが、結果良ければ全て良しです。

 

みなさん、色選びは慎重に。私の場合は、予想以上に濃くでちゃいました。

 

ただ、濃い部分はレリック加工の汚れっぽい感じで使ったので、結果この色で正解だったのかも知れません。

 

今度は、冬が明けたら、春に、TeleGib仕様の安物テレキャスをオイルフィニッシュしようと思っているので、そのときにまたアップしようと思います。

 

今度は全体を廃材っぽくしようと思っているので、もう少し薄い色をチョイスします。。

 

2021/5/7追記

次はテレギブでやってみました。

落とし穴が色々ありましたので、こちらも参考になると思います。ご覧ください。

 ↓↓↓

 

lenheyvan.hateblo.jp

 

ではまた!

ピックアップのポッティング手順 GIBSON BurstBucker

どうも、lenheyvanです。

 

ギターのピックアップは昔から色々試すのが好きで、当時大好きだったジェイク.E.リーがSeymore Duncan の JBを愛用しているというのを知って、交換してみたのが最初だったと思います。

  

それからと言うもの、Gibson、ビルローレンス、VanZandt、SUHRと色々とっかえひっかえしてきました。

 

ディマジオは何故か一度も使ったことが無いですが、ピックアップ本のサンプル音源を聴く限り、PAF Proは試してみたいです。

 

昔はハイパワー系に興味があって、DuncanだとJBから始まり、Duncan Distortion( SH-6 )、Duncan Custom ( SH-5 )、 Custom Custom ( SH-11 )、SUHR Aldrich、Gibson 500T、ビルローレンス L-500辺りを使ってました。

 

最近は歳なのかPAF系が気に入ってて、その中で最近自分の中でヒットしたのが、Gibson BurstBucker Type1です。

 

ネックにマウントしたところ、これが最高で、、

単音だとピックが弦にヒットしたときのクッ、とか、カッというアタック音が出て、ピッキングニュアンスがすごく出ます。

複音(特に2・3弦)だと、哀愁のあるむせび泣くような感情が入り込むような発音をします。

 

BurstBuckerの中で一番低出力なので、迫力のある音色ではないですが、繊細な表現をするには最高の部類に入るんじゃないかと思います。(そういう腕があるかは置いておいて・・・)

 

ただですね、大きな不満があります。

それがハウリングです。

 

これ系のピックアップでゲイン上げちゃダメよ、と言われそうですが、そこそこ歪んだ音でも弾きたい時がありますよね。

 

そうすると、すぐハウっちゃうんです。

 

それも当然、BurstBuckerはPAFに近づけるためにポッティングしていないですから。

 

ならばポッティングを自分でしちゃおうじゃないかと思ったわけです。

ポッティングしないことによるメリットを失うのは分かっていますが、多少そこを削ってでも実戦で使える状態にするほうが自分にとっては重要だったので、Tryしてみました。

 

ポッティングはこんな手順でやりました。

 

1.道具を用意

・容器

パラフィンワックス300g ステアリン酸配合

 

容器は百均でいいです。本当は真空にできるもののほうがワックスの浸透が早く確実にできるようですが、そういうの探しても中々無いのと、あってもえらい高いんですよね。ちゃんと丁寧にやれば大丈夫です。

 

次のパラフィンワックスですが、ステアリン酸を混ぜてやるか、配合されているもののほうが固まったときの硬度が高くなって良いみたいです。ちょうどフリマで安く出している方がいらっしゃったので600円くらいで購入しました。

融点は60度くらいのものが良いようです。

 

300gもあれば十分です。1回使いましたが、まだまだ結構残っているのでそのまま容器に入れて閉まってあります。もちろんロウソクのように固まるので保管も楽です。

 

 

 

2.湯煎

さあここから作業していきます。

適当な鍋にお湯をはって、湯煎していきます。

 

70度くらいになるよう一応温度計で計りながらやりました。

最初は固形のパラフィンワックスが30分くらいで完全に溶けます。

 

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3.ピックアップを投入

次にピックアップをドボンします。

コード部分がロウまみれになると取るのが面倒かなと思い、マスキングテープで巻いてやってみました。

 

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ちょっとコワイですが思い切って投入です。

最初は空気の細かい泡がプクプクと出てきます。ワックスが浸透している証拠です。

 

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4.ワックスを浸透させる(1回目)

このあとは、70度くらいをキープしながら、ピックアップを色々な方向に傾けたり転がしたりしながら、内部の空気を出して、ワックスを浸透させていきます。

 

ここは成否に大きく関わる工程なので丁寧にやっていきます。

空気の泡がほとんど出ないようになったら1回引き揚げます。

 

ここで終わりじゃありません。

 

5.ワックスを浸透させる(2回目)

引き揚げたピックアップは一度冷まします。

私の場合は15-20分くらい放置しました。

 

そしてもう1回、ワックスを70度まで上げて、もう1回ドボンです。

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また空気の泡がほんの少し出てきますが、1回目のようにプクプクというレベルではないです。どうやらちゃんと浸透しているようです。

 

ここでプクプクいっぱい出るようなら、まだまだ浸透が足りないということです。

 

1回目同様に色々な方向に傾けたり転がしたりしながら、内部の空気を出して、ワックスを浸透させていきます。

 

6.冷ます

空気の泡が出なくなったところで引き揚げて、冷まします。

数時間おけばいいんでしょうけど、念のため半日くらい置きました。

 

 

これでポッティング作業完了です。

 

さて、効果の程は!?

 

 

 

 

ハウリングがしなくなった!!

 

成功です。

 

音色の変化としては、ちょっとレンジが狭くなったように感じました。

 

それと、なんて言うんでしょう?

空気感というか、複音で鳴らしたときの音と音の間に間スペースみたいなものが詰まったような感じがしました。

 

ただ、その程度はと言うと、聞いている人には分からないんじゃないですかね。

弾く人にしか分からない程度の変化です。

 

というわけで、私の中では成功です。

これで、そこそこのGAINでも使えるようになりました。

 

ではまた!

 

海外の商品を買うときはTransferwise一択

どうも、lenheyvanです。

 

ちょっと前にアメリカからギターアンプを購入しましたが、

 

lenheyvan.hateblo.jp

 

海外から商品を買うときは大体eBayだったので、PayPalで済んでいたんですよね。

ところが、今回はクレジット決済はできないとのことで、銀行での送金する必要がありました。

 

今回初めてでしたが、結構勉強になったので書いておきます。

 

海外送金サービスはどれを選べばいいの?

 

まず答えから言います。

それはTransferwiseです。

 

海外送金サービスは大手銀行がサービス提供しており、従来はこれが一般的でした。

 

三井住友銀行

セブン銀行

住信SBIネット銀行

ジャパンネット銀行

などなど

 

ただ、これらは手数料が高いのと、送金から着金まで時間がかかるのがネックでした。

(最近はだいぶ安くはなってきましたけどね。でもまだまだ高いと言わざるを得ません)

 

何故、銀行の送金サービスは高い・遅い?

 

例えば、いつも日本で利用している銀行から、指定された海外の銀行へ送金する場合、このような経路で送金されていきます。

※SWIFTと呼ばれる国際送金の仕組みです。

 

①日本の銀行(A)へ入金

②Aから中継銀行(B)へ送金

③Bから中継銀行(C)へ送金

 ・・・

④中継銀行(X)から指定された海外の銀行に着金

 

まず、見てのとおり、中継リレーなので経路が長いですよね。

そして、それぞれでシステム処理が入るので、時間がかかります。

 

また、①で海外送金手数料と為替レートの上乗せ、②③では中継銀行の手数料、④の受け取り手数料が発生します。

 

これ無駄じゃないですか?

時間かかるし、手数料いっぱい取られるし・・・

 

Transferwiseの仕組み

そこで産まれたのが、Transferwiseです。

 

まずスゴイのが、海外へ送金するのに、お金自体は国を跨がないんです。

え、意味が分からない?ですよね。

 

解説します。

 

Transferwiseではざっくり言うとこういう仕組みで送金します。

 

①日本の銀行(A)からTransferwiseの日本の銀行へ入金

②Transferwiseの海外の銀行から、指定された海外の銀行に着金

 

以上です。

 

どゆこと?と思われるかも知れませんが、つまり、日本→アメリカを例に説明すると、

Transferwiseは日本とアメリカに銀行口座を持っています。

 

①利用者はTransferwiseの銀行口座@日本に1万円入金します。

 (ここで手数料がかかりますが、銀行の送金サービスよりずっと安い手数料です)

②Transferwiseは銀行口座@アメリカから指定された銀行へ1万円入金します。

 

というわけで、国は跨がないので、圧倒的に早く、かつ、手数料も抑えられるわけです。

 

Transferwiseは70か国以上の国・通貨に対応していて、各国に銀行口座を持っています。2020年時点で800万人の利用者がいます。

 

最近はSmilesという日本産まれの送金サービスが2017年に立ち上がりましたが、これまでの実績を鑑みると、デファクトスタンダードになっているTransferwiseが良いでしょう。

 

Transferwiseの利用方法

でも、ホームページ見ても良くわからん、なんか難しそう、と思われるかも知れませんが、実際に私が利用した実感としては、オンラインで全部済むので楽チンだし、難しくもないです。

 

ただ、実際利用する際に「まず何をやればいいんだろう?」「ここには何を入力すればいいんだろう?」と迷ってしまうところをガイドしたいと思います。

 

はい。ではここから解説していきますね。

簡単なので安心してついてきてください。

 

1.口座開設

Transferwiseのホームページへアクセスして口座開設します。

 

transferwise.com

 

スマホのアプリもありますので、もちろんそちらからでもOKです。

 

TransferWise

TransferWise

apps.apple.com

play.google.com

 

特にここは迷うこと無いと思います。

会員登録ボタンから進むと

・メールアドレス

・パスワード

を登録する画面が出てきますので、お好きなID/パスワードで登録してください。

 

会員登録はこれで終わりです。

 

2.送金

「送金する」から送金メニューに入っていきます。

(1)金額

「送金される金額と通貨を指定ください」という画面になります。

 

以下を入力してください。

・送金元の通貨(円ならJPY)

・送金先の通貨(米ドルならUSD)

・受取額

 

そうすると、自動的に為替レートで計算し手数料を加えて、総額いくら入金すれば良いかが「送金元の送金額」に設定されます。

 

例えば、米ドルで100ドル送金したい場合、それぞれの通貨を選択して、

「受取額」に100(ドル)を入力すると、「送金額」に10,567(円)と自動セットされます。

※あくまで例です。為替レートによって変動します。

 

当たり前ですが、受取額が確定していないとここで詰まりますので、

事前に先方に、配送料を含めたトータルコストを確認しておいてください。

 

私の場合は、君の郵便番号(postal code)を教えてくれ、と言われたので、それを教えて、配送料(shipping fee)と製品価格を合わせて、トータルコスト(total cost)でxxx.xxx USDだよ、と教えてもらいました。

 

OKであれば「送金手続きへ」へ進んでください。

 

(2)お客様

 

個人アカウント/法人アカウントを選択しろ、と出てきます。

みなさん個人送金と思いますので、「個人アカウント」を選択します。

 

次に「詳細を入力してください」と出てきます。

以下を入力してください。

 

・氏名 ←ローマ字です。漢字ではないのでご注意を。

・生年月日

・電話番号

・国

・住所

・職業 ←フリーフォーマットです。会社勤めなら「会社員」で良いです。

(3)受取人

「どなたに送金されますか?」という画面にいきます。

 

自分自身/その他/法人・団体 とありますが、前回の記事で紹介したアンプ購入では、「David Bray Amps」という法人への送金なので「法人・団体」を選択します。

 

そして以下を入力してください。

・受取人のメールアドレス

・企業名/団体名

・受取人住所

・銀行口座が存在する国

・ルーティングナンバー(※1)

・口座番号(ACCOUNT)

・口座種別(チェッキングアカウント/セービングアカウント)(※2)

 

※1 アメリカの銀行コードのことです。ABAとも言います。

  先方から教えてもらってください。

※2 間違えやすいので要注意ですが、ここはチェッキングアカウントを指定すべき場合がほとんどだと思います。

 チェッキングアカウント(chekking account)は日本で言う「当座預金」、

 セービングアカウント(saving account)は日本で言う「普通預金」です。

 日本では通常「普通預金」を利用しますが、アメリカでは反対です。

 セービングアカウントは、入出金が自由にできますが、チェッキングアカウントより高い利子が付きますので、チェッキングアカウントが通常利用されます。

 小切手を利用するのが日常化しているアメリカではチェッキングアカウントが主流です。

 

(4)本人確認

こんなことが記載された画面が出てきます。

・お客様の現住所が記載されてる日本発行の顔写真付き身分証明書(例:日本の運転免許証、在留カードマイナンバーカードなど)


・手のひらサイズの紙とペン。4桁の認証コードをその紙に書いていただきます。


・カメラが搭載されているスマートフォン。カメラを使って運転免許証、認証コードとお客様の顔を撮影します。


マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード(緑の紙)

 

スマホで簡単に手続きできますので、以下を用意して、

そのまま、「手続きを進める」で進みます。

 

スマホ

・運転免許証

・紙とペン ←後で出てきますが、ここに指定された数字を書いて写真を自撮りします

マイナンバーカード(通知カードでも可)

 

PCで作業進めている場合はQRコードが出てきますので、それを読み取って、

スマホ側で操作します。

 

スマホ側で、何で身分を証明するかを選択します。

マイナンバーカードを持っている方をそちらで、持っていない方は運転免許証で良いです。

 

4桁の数字が画面に出てきますので、それをさっき用意した紙に書きます。

(1234 みたいな感じで普通に書けばよいです)

 

で、これをスマホで撮ってください、と出るので、表面を撮影、斜めに傾けて撮影(正しい厚みかを確認するため)、裏面を撮影と、画面の指示通り進めていきます。

 

最後に送金の目的を選択する画面が出てくるので、一番近いものを選びます。

(通常は、海外の商品を購入する代金になると思います)

 

(5)再確認

 

さあ、もう一息です。

 

最後に送金内容の確認画面が出てきます。

 

誰にいくら送金するのか、が出てくるので間違いないか最終確認します。

問題なければ次に進んでください。

 

お決まりの「利用規約を確認してね」というのが出てくるので、承認して次へ進みます。

 

(6)入金

 

入金方法を選んでくれ、という画面が出ます。

「銀行振込」か「デビットカード」を選択することになりますが、

デビットカードは手数料がかかるので、「銀行振込」で良いと思います。

(至急の場合は、入金手続きが早い「デビットカード」が良いと思いますが、そんな至急の場合もあまり無いでしょう)

 

「ご利用の銀行のオンラインバンキングで銀行振込で入金ください。」という画面に移ります。

 

ここからは、TransferwiseのWeb画面もしくはスマホアプリでの作業ではなく、

ご自身の作業になります。

 

TransferWiseの日本口座の情報が画面に出てますので、そこに送金する金額を振り込んでください。この画面は後でも確認できますのでメモはしなくても大丈夫です。(そんな意地悪なシステム設計にはなっていないのでご安心を)

 

振込作業を終えたら、Transferwiseに戻って、「銀行振込を完了しました」ボタンを押下すればOKです。

 

お疲れさまでした。

 

初回利用時は、本人確認をTransferwiseの日本法人で実施しますので、承認されるまで1-3営業日くらいかかります。本人確認がOKであれば、即時入金処理が開始されます。

 

入金処理が開始されたら、着金までは早いです。

 

私の場合は先方がルーティングナンバー(ABA)を誤っていたようで、アメリカ側の銀行での確認で半日くらいロスがありましたが、それでも1日ちょいくらいでした。

 

3.お得情報

Transferwiseは紹介特典があります。

 

以下リンクからTransferwiseにサインアップして頂けると、¥75,000円分の送金手数料が無料になるクーポンがついていますので、ご利用いただけると幸いです。

 

また、私は今回「David Bray Amps」からアンプ購入しましたが、輸入代理店は無いと思われますので自分で英語でやり取りして購入する必要があります。

 

もし購入したい方がいらっしゃいましたら、以下リンクを利用していただいた方にはサポートをさせていただくことも可能です。ご希望の方はメッセージいただければと思います。

(上述のとおりABAが間違っていたので、サポート希望の方がいらっしゃれば私からDavidへ確認しようかと思います)

 

以下をクリックしてサインアップするとクーポンが適用されます。

↓↓↓

紹介特典URL

David Brayから教えてもらったブラウンサウンドの作り方

どうも、lenheyvanです。

 

ちょっとバタバタしていて時間が経ってしまいましたが、coco50の音出ししてみました。iPhone直録りなので、キレイな音質ではないですが、逆にマイキングに左右されていない素の音が分かるかと思います。

 

 

 

 

ギター               :Washburn N2

ピックアップ : Van Zandt Tru Bucker

キャビネット   :Celestion G12M25+G12H30 ※両方とも英国製のHeritage

 

まず感想

ハイゲインアンプではないものの、アンプ直でGAINをMAXにすると小音量でもFeedbackするので、アンプをメインで音作りする方には良いと思います。

 

ただ、Davidの動画のようなエディの1stっぽい音が出ない。

 


BRAY COCO 50 1st Album RWTD

 

アンプは当然同じです。アンプ直という環境も同じです。

ギターはもちろん違いますが、ピックアップもduncan'59とvan zandt Tru Buckerなので、アルニコ5+直流抵抗値は8-9kという特性はほぼ同じです。

 

 

 

では何が違うのでしょう?

 

分からんのでDavidに聞いてみました。

 

「結構いい音なんだけど、なんでDavidみたいなブラウンサウンド出ないの?」と。

 

めっちゃ親切

何回かメールのやり取りしたのですが、長文で返信くれて、感謝感激。

色々アドバイスをいただきました。

 

ある意味、アウターフォローはその辺の日本メーカーより手厚いんじゃないでしょうか。

やっぱり、自身がエディのあのサウンドに魅せられて、熱い想いを持って追及してきたからこそ、そこに対する情熱や知識はハンパじゃないです。

こういう方は本当にリスペクトします。

 

ブラウンサウンドに必要なエッセンス

もらったアドバイスの要点を整理すると、

・ピックアップはOK。自分が使っているduncan'59よりエディに近いかも。

・トーンコントロール(EQ)を全部MAXにしてもエディのあの感じは出ない。

 特にミドルを上げ過ぎると、ハイが引っ込んでしまうので、ある程度、ミドルを抑えて、ハイの美味しい帯域が出るように調整する必要がある。そのバランスが良いハーモニーを生み出す。

・スピーカーは、実は英国製より中国製のほうが昔のGreenbackに近い(←これ衝撃でした)

・エディはおそらく当時、GreenbackではなくBlackbackを使っていたと思われる

ScumbackのBM75はその当時のBlackbackを再現しており、かなり良い選択肢になる。自分も使っている。

ということでした。

 

確かに、Davidの動画だと、1stのエディのように、ミッドハイがガッツリ出ていて、良い意味でグシャッ、バリバリッという心地よいサウンドが出てるんですよね。

(雪国育ちの方にしか分からないかも知れないと思いますが、冬に氷った水溜まりを氷を。足でグシャって割ったときの乾いていて迫力のある、あの感じです)

 

一方私の動画でのサウンドは、ミドルのモコモコ感にスポイルされてしまって、ミッドハイが引っ込んでしまい、歪みも少ないように聞こえます。

 

たぶん、Davidの動画と歪み自体はほぼ変わらないんでしょうが、このヴォイシングの調整の仕方が全然違うと思われます。

 

というわけで、まずはスピーカーをScumbackに替えようかと思っている今日この頃です。

 

変えたら、もう一度録りなおしてみたいと思います。

 

では今回はここで。

 

(2021/3/13 追記)

スピーカーをScunbackにして、Davidのアドバイスを参考にトーンコントロールを調整した動画がコチラです。

 

 

 

 

 

(2022/3/12 追記)

アンプをモディファイすることで私なりのブランドサウンドを得ることができたので、そちらもご参照ください。

 

 

 

David Bray Amps の coco50が我が家に来た!!

 

 どうもlenheyvanです。

 

実は以前に気になっていた、アンプを注文していたのですが、それが我が家にやってきました。

 

David Bray coco50

f:id:lenheyvan:20210206012659j:plain

 

David Bray Ampsのcoco50という割と最近出たアンプです。

 

それまでの愛機はこちらでした。

 

Marshall 1987x

 

こつが相棒だったのですが、どうしてもDavid Brayが欲しくなり1987xを売却して購入しました。

 

 なんで気になっていたかと言うと、1987xはすごく良いアンプなんですが、Gainがそれほど高くないのと、フルアップしてもローミッドが泥臭くなってしまい、ハイミッドの噛み付く感じが出なかったんですよね。

 

個体差もあるだろうし、アッテネーターかましてたからっていうのもあるでしょうけど、大好きなエディもランディも改造してましたからね。

 

やっぱり改造系Marshallは気になっちゃったわけです。

エディの1stでのブランサウンド、ランディのTributeでのライブ音源の音が、理想です。エディのめちゃくちゃ歪んでいるようで歪んでいなくて、尖っているようでマイルドなあの独特なサウンドは最高だし、ランディのぶっとくて、荒くてワイルドでハーモニクスがキラキラしているサウンドも最高だし。

 

それ系でいくと、もちろんBogner、Friedman辺りが候補になってきます。

 

 ただ私の好みには若干合わず、Bognerはちょっと歪がきめ細かすぎてキレイ過ぎるというかコンプがかかりすぎというか、もっと暴れて欲しいんですよね。

Friedmanは歪みはBognerよりちょい粗めですが、歪の粒がキレイに並んでいて、不良かと思ったら意外と頭良かったみたいな感じじゃないですか(あくまで主観です)

 

 

 もうちょっと暴れてて、尖ってて、でも耳に痛くなくて、人工的ではなく昔ながらの歪かたをして、かつ、歪が深いやつっていうわがままな想いを叶えてくれそうなのが、たまたまYouTubeで見たDavid Brayアンプでした。

 

vanhalenを弾いている動画だったんですが、まんまエディのブラウンサウンドじゃんみたいな。

 


Bray 4550 Amplifier, Strat w/ Duncan '78

 

 

Marshall 1987xをブランドサウンドに近づけるために、ディストーションを自作して、色々いじりまくって3年、ようやくこの組み合わせで近いところまで来たと思っていたのですが、やっぱり、本当はアンプでそのサウンドを出したいんですよね。

 

ボリューム絞ってもディストーションでクリップさせているので、クリーンには到底ならないし、ノイズもそこそこ入るし、アンプが良ければアンプ直で、後はギター側のボリュームでクリーン/ディストーションをコントロールするというエディ的な使い方に憧れていて。

 

ただ、探してもこれが出てこない出てこない。

もちろんAmazon等のショッピングサイトには無いし、国内のネットオークションサイトはもちろん、eBayにさえ無い。

 

日本で輸入代理店をやってそうなところは1つ見つけたのですが、どうもそのサイト見ても売っている気配は無い・・・

 

ということで、直接、David Brayにコンタクトをとって、相談して、色々経てようやく、我が家に来た、という感じです。

 

当初は1987xをモディファイしてもらおうかと思ったのですが、coco50のほうが安いし、エディの1stドンズバな音だよと言われて、じゃあ、ということでcoco50にしました。

 


BRAY COCO 50 Amplifier 1st Album ATBL Brown Sound

 

どういう流れで話を進めていって購入したのかとか、購入時にちょっと気を付けないといけないこととかありましたが、その辺は今度お話ししようかと思います。

 

今日届いてほやほやなんですが、こんな箱で来ました。

 

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開封すると、、、

 

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そしてまずこれを読めという紙が入っていて、(この内容の日本語訳はDavidから事前にメールでもらっていたので内容は把握済でしたが)、これに従ってバックパネルを開けると、、、

 

 

 

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緩衝材で保護しつつ、各種パーツが入っています。

 

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全部取ったところ。まだスッピン状態です。

 

 

 

 

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中には左から、

フットスイッチ、

電源ケーブル

プリ管(ECC83、12AX7×2)、

パワー管(EL34)、

フットスイッチ用ケーブル、

スピーカーケーブル(上)、

です。

 

 

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パワー管はマッチングペアとは言え、バイアス調整したときの個体でセットしないとバランスが崩れるのでちゃんと数字が書いてあります。

プリ管はバイアス調整不要ですが、先頭のプリ管が一番音色に影響を与えるので、これも組み上げ後に音出しテストで一番良かった順番に並べてあるんでしょうね。

 

ここから真空管をインストールしていきます。

ピン位置を間違えないように慎重にセットします。

 

そして、スタンバイスイッチON!

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このパワー管に火が入る感じがいいですよねー♪

初回なので、30分くらい真空管を暖めてみました。

 

 

もう夜遅かったので、蚊の鳴くような音量で音出し確認。

 

 

うん、OK。

 

 

ちゃんとしたボリュームで音出さないと本領は分からないですが、それは明日のお楽しみにとっておきます。

 

 

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さて、これでアンプ単体でどのくらいまで歪むのか。YouTubeではすごい良い音が出てるのは確認済ですが、実物が全く一緒とも限らないので。

  

ちょっと時間ができたら、音源も録ってみようかなと思います。

 

次回はこちら

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(2022/3/12 追記)

アンプをモディファイすることで私なりのブランドサウンドを得ることができたので、そちらもご参照ください。

 

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ポタアン放浪記(3/4) ~2018年頃~

どうもlenheyvanです。

 

ポタアン変遷の続きです。

 

2015年頃に人生初のポタアン「OPPO HA-2」が私の相棒になったわけですが、せっかくの機能であるGND分離を試したくてしょうがなかったので、ケーブルを物色して、辿り着いたのがこれです。

 

Vermilion for Shure - SONY NW-ZX2(BEA-2679)

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出展:Amazon

 

高級ケーブルで有名なBeatAudioさんのVermilion、GND分離仕様のケーブルです。

これ定価で購入するとめちゃめちゃお高いです。

なので色々なフリマサイトで中古品が出るのをずっと張っていたのですが、3-4ヶ月粘っていたらようやく出てきて、かつ、割と安く(と言っても2-3万くらいはした記憶が・・・)入手することができました。

JVC HA-FX1100のオリジナルのケーブルをこのケーブルにリケーブルし、これでHA-2へ接続する準備が整いました。

 

さて、音出しです。

 

まず最初に感じたのは、音のセパレーション(分離感)がすごく良くなったという感触です。その代わりに若干、音の圧は落ちました。

 

GND分離前 :音が塊がぶつかってくる感じ。分離が悪い。一方で迫力はある。

GND分離後 :各パートの定位が分離した感じ。分離が良い。一方で迫力は少し落ちた。

 

ただですね、すごい変わったわけではなくて、聞き比べると、あーそっち寄りになったねーっていうくらいです。

オーディオにあまり興味無い人なら、なんも変わってないじゃん、って言うと思います。

 

でも、やっぱり違うんですよね。

この差に投資するかどうかがマニアとそうじゃない人の分かれ道ですね。 

 
GND分離とVermilionへのリケーブルが同時になってしまったので、それぞれの影響度合いは何とも言えないところなんですが、好みは置いておいて、高音質になったのは確かです。

 

仕事帰りにこいつを胸ポケットに入れて、大きめの音量で音楽に浸るのが至福の時です。

 

ところがですね、どうも調子悪いんです。すこぶる調子が悪い。

何が調子悪いって、急にぶちっと音楽が止まって、再生機器(当時はiPod nanoを使ってました)から再度、再生押してもダメで、HA-2を再起動してもダメで、再生機器を再起動してもダメで、「おいー」って思ってたら突然元に戻る、みたいなことが頻繁にありました。

 
ちなみにGND分離とかリケーブルは関係ないです。
この現象はその前から起こってましたので。

サポートに問い合わせをしましたが、どうにも解決に至ることは無く、色々調べてみると、結構同じ事象に遭遇している人たちがいるみたいなんですよね。

 

再生機器との相性があるとか、Bluetoothが邪魔をしているとか。

でも、iPod nanoだからBluetooth機能無いし、じゃあスマホに変えてみるかとやってみたら、大分改善しました。(と言ってもやっぱり時々起きるんですが)

 

そんなこんなしている内に、今度は別のが気になりだしました。

 

OPPO HA-2 SE

 

 
みたいな記事を見ると、物欲がフツフツと・・・


どうしても欲しくなり、HA-2を売却した分と差し引いて、5000円くらいなら射程距離内だなと思い、ネットオークションで物色して割とお安めに出している方がいたので、即購入しました。

もちろんこれでHA-2は売却です。
当初の計画とおり1万円くらいで売却できたので、5000円くらいの投資で後継機へ乗り換えることができました。

ということでHA-2SEへ乗り換えたわけですが、ちょっと私の耳では違いがあまりわかりませんでした。。。

音圧上がったのかなー?

ノイズが減ったような気もするー

SN比がよくなったようなー

 

っていうかプラシーボ?

 

その程度の耳ということですね。

 

とにかくこれで自分の中でのポータブルオーディオ環境は満足いく状態に整ったわけです。

 

スマホiPhoneよりGalaxyのほうが音が良いように感じた)+

OPPO HA-2 SE +

JVC HA-FX1100

  

そんな2018年頃でしたが、やっぱり気になるのはブチブチ切れてしまう不安定さ。。

音は満足してました。(もう少し低音出てほしいな、というはありましたけど。)

 
ただ、やはり気持ちよく聴いている途中でブチブチ切れてしまうと、至福の時間が至福ではなくなってしまします。
 

気持ちよく音楽聞いているのに途中で止まって、再起動して、とかちょっと勘弁、という思いが日に日に増していき、またもや次のポタアン探しの旅に出てしまいました。

 

ではまた!

 

 

 

 

 

ポタアン放浪記(2/4) ~2015年頃~

どうも、lenheyvanです。

 

ポタアン変遷の続きです。

 

前回紹介したオーディオテクニカのAT-PHA31iですが、オーディオ系雑誌を読んでいると、「今、ポタアンが熱い」的な記事が結構出ていて、すごく気になりだした頃でした。

 

今までは、

 ・再生機器のバッテリーとポタアンのバッテリー、両方を気にするのは面倒

 ・かさばりそう

という理由で敬遠していたわけですが、もっと高音質な世界に足を踏み入れたくなってしまったんですね。

 

探す条件は、

 ・音質に定評がある

 ・大きすぎない(あまりかさばらない)

 ・中古で2万円代で購入可

です。

 

色々なレビューサイトを見て、候補に挙がったのは以下3つです。

 

ONKYO DAC-HA200

SONY PHA-1A

OPPO HA-2

 

 

ONKYO DAC-HA200

ONKYOは昔から好きなメーカーで、どのレビューサイトを見ても、入門機ならこれでしょ、という扱いで書かれていたので、真っ先に第一候補に挙がりました。

 

記事を読む限り、優等生的な感じで同じ価格帯では特に弱点無し、

しかも、同じくONKYOが提供しているスマホ向けのミュージックアプリ「HF Player」(※1)の有料版を無償で利用可能という特典付き。

 

ただ気になったのは、サイズ感。厚みがあるので、スマホと重ねると結構ボリューム感があり、持ち歩きが大変そうなところで迷ってしまいました。

 

※1 無償版のまま利用することも可能で、私のサブ用スマホでは無償版で利用しています。このアプリ使うとスマホ標準のアプリで聴くより音質が良くなるのと、インターネットに接続していると歌詞が連動して表示されます。著名なスタジオエンジニア達が作成したイコライザーを使うこともでき、私にとっては必須のアプリです。

有償版と無償版の違いは、有償版だとハイレゾ音源の再生が可能になります。(最近のupdateで、無償版でも8曲までは聴けるようになったようです)

 

SONY PHA-1A

ONKYODAC-HA200とライバル機として紹介されていたのが、SONYのPHA-1Aです。

まずウォークマンからの系譜を引き継ぐメーカーとしての安心感、そしてDAC-HA200とライバルとなると気になっちゃいます。

 

ただ、もちろんですが、こちらは「HF Player」の特典は当然の如く無く、その他はほぼ互角とのこと。そうなると、敢えてこちらを選択する強い理由も無く、候補からは外れました。

OPPO HA-2

最後に気になったのはこちら、OPPOのHA-2です。

OPPOというメーカーは聞いたことなかったものの、このユニークかつオシャレなデザインに惹かれました。手帳のようなレザーを貼ったようなデザインと薄さ。

 

でも音質、使い勝手はどうなのよ?

 

調べてみると、

 ・ハイレゾ音源に対応

 ・GND分離接続を採用(※2)

   ※2 左チャンネルと右チャンネルを独立させることでクロストークを減らして、左右チャンネル間のセパレーションが良くなる接続方法です。この手法はバランス接続が有名ですが、左右それぞれのhot、coldにアンプを使うので計4つのアンプで駆動させます。GND分離はバランス接続はhot、coldを各1つずつ計2つのアンプで済みます。その分、コストダウンが可能になります。コストと音質のバランス的にGND分離を選択したんでしょうね。

 ・Bass Boost機能

 ・30分で70%の充電が可能な独自機能「ラピッド・チャージ」

 ・モバイルバッテリー機能

とのこと。

 

そもそも当時ハイレゾ音源は持って無かったので、「HF Player」の無償版でもいいし、何よりこの薄さ。そして、GND分離接続が可能ということで、DAC-HA200より高音質が望めそう、ということで、これに決めることにしました。

 

使ってみた感想

フリマで2万代で購入しました。

実物を手にしましたが、写真のとおり高級感があり、そしてやっぱり薄い。

音質も「オーディオテクニカのAT-PHA31i」と比べたら段違い。

割と、低音から高音まで癖が無く、フラットに出る感じで、Bass BoostをONにしても、劇的に低音が強くなるわけではなく、バランスが崩れないように、上品に低音を持ち上げてくれます。

 

Rock好きなので、もっとガツンと低音利かせて欲しくもありましたが、きっとそれだと高音域がスポイルされてしまう、というメーカーの判断なんでしょう。

 

 

この時はまだイヤホンを替えていなかったので、この後イヤホン探しの旅に出るわけですが、それは次回に。

 

次回はこちら

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